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REQUIEM館

第45話:真実とその代償

フリューベルはゆっくりと瞼を開いた。
周囲は全くといっていいほど無音であった。ふとフリューベルは自分の頭に感じる感触に気づいた。
視線を少し上げるとそこにリオが静かに寝息を立てていた。
周囲を見回すと、とーるとエリス、ナナリとやよいもそれぞれ肩と肩を触れながら眠っていた。
(そうか、うまくいったか)
フリューベルはリオの手をゆっくりと横に置くと起き上がった。
「お!起きたか」
フリューベルが動いたのとほぼ同時にセツが振り向いた。
「すまん、心配掛けたな。それよりうまくいったのか?」
ある程度は理解しているつもりだが確認のためにフリューベルは尋ねた。
「ああ、フリュが予想した通りあの2人は選ばれた者だった」
セツの言葉にフリューベルはそうかと一言返した。
「フリュ、俺はお前に言いたいことがある」
セツは戦闘でもないのに珍しく真面目な顔をしていた。
「今のフリュはもう限界がきている。これ以上の力を行使をすると本気で死ぬぞ。今回だってリオの奴気付かれてないつもりかもしれないがあいつ泣いてたぞ」
セツの言葉にフリューベルの胸がちくりとした。
フリューベルとて命を粗末にするつもりはない。だが必要なことであれば間違いなく自分を犠牲にしてでも仲間を守るだろう。今回の件とてこの後に待つことを考えてのことだった。
セツもそのことを理解している。だがそれでも言わないとフリューベルは間違いなく無茶をするだろうと思ったからだ。
「セツ、俺、いやセツもだが俺達はエルを失った時に己の無力さを痛感した。もう2度とこの手から大切な人を失ないたくない。そのためなら俺は自分の存在を全て賭けるつもりだ」
フリューベルは一切の迷いもなく言い切った。その姿を見てセツは額に手を押さえつけて溜息をついた。
「全く馬鹿だ馬鹿だと思っていたが、やはり馬鹿だ。多分ここにいる奴全員考えてることは一緒だ。本当に馬鹿ばっかだ」
セツの言葉にフリューベルは「あぁ」と頷いた。
「お前ひとりに無理はさせないさ。俺だってあいつからお前のことは頼まれてたからな」
セツの言葉にフリューベルは天井を見上げた。あいつとはもうこの世にいないエルの事を言っているのだろう。2人にとって掛け替えの存在であって亡き後も彼等の支えになっていたのは間違いないだろう。
「わりぃ、流石に限界だ。俺も一眠りするから後任してもいいか」
セツは欠伸を噛み殺しながらフリューベルを見た。フリューベルは何も言わず頷いた。
「んじゃリオの膝も空いてるし俺が・・・」
セツが冗談混じりに言いながらリオの方へ向かおうとした。
ひゅっ
「しばくぞ」
神速の突きがセツの顔のやや前に飛び出す。
手加減なしの突きにセツは少しだけ冷や汗を流した。
「冗談だって、でも羨ましいよな。こんな子とお前が一緒にいられるのだから」
「セツにもいるだろ奥さんが、あんな綺麗な人がいてそれを言うか」
そう今までセツの事はあまり触れられていなかったが彼は既に結婚をしている。
この事は別の機会があるなら語られるだろう。
「まぁな、っと流石にやばいな。んじゃまた後で」
そういうとセツは柱にもたれかかる様にして寝てしまった。
フリューベルは周囲の気配を探ったが特に気配も感じなかったのでリオの横に座った。
(後少しだ。これで全てが終わる)
フリューベルはもう一度天井を見上げた。先ほどはこの塔よりも先にある空を見ていたが今度はそれよりも近い最後の敵がいるであろう場所を見ていた。
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
5時間後
全員が目を覚まし、フリューベルが起き上がっていることに安堵した。
それから螺旋階段を1時間歩き続け大きな壁が立ちはだかった。
「フリュ」
セツはフリューベルに合図を送った。
フリューベルは静かに壁に手をあてると縦に横にと振り十時を描いた。
それに反応し壁が大きな音を立て四方に割れた。
(ベルさんって本当に何者なんだろ)
(分からないわ。でも今はそれを気にしても仕方ないことだと思うの)
とーるは小声でエリスに話しかける。エリスも同じ疑問を持ったが詮索しても分かりそうにないので考えを止めた。
「ここだ」
フリューベルが足を止め先には何もない廊下がった。だが全員が違和感を感じた。
「空間がねじ曲がっているんだ。これだけでも化け物だな」
セツは舌をうち険しい顔をした。セツを含めたほとんどの力はこの世界の常識を元に構成されている。
例えばセツの重力操作は力を行使した空間の重力を+か-にすることで発揮される。
例外は今のところ判明しているとーるの虚無の世界のみだ。
虚無の世界を見れば分かるが世界の理を覆す力は使い方一つで世界を滅ぼすことも可能だ。
そんな力をこれから闘う相手は持っているのだ。苦戦なんて生易しいものではないだろう。
「俺とセツが入ったら10秒数えろ。入った瞬間間違いなく戦闘は始まっている。俺達で奴を抑え込むその間にとーる達は体制を整えろ」
フリューベルはセツが頷くのを見ると勢いよく跳び込んだ。空間の捻じれに跳び込むとフリューベルとセツの姿が消えた。
1,2,3,4,5
とーるは10秒が長く感じた。まだかまだかと逸る気持ちを抑えた。
6,7,8
ナナリは冷静に跳び込んだ後の事を考えていた。
9
全員が得物抜き構えた。
10
弾かれるように全員が跳び込んだ。
視界がぐるぐると回った気がした。それから直に視界は開けた。
そこは既に戦場だった。
フリューベルとセツは跳び込んだ5人の姿を確認もせずに目の前の女に斬りかかっていた。フリューベルは縮地を駆使した神速の突きを5連続で突きだす。セツはフリューベルが作った死角から斬り込み同じく5連続の突きを叩きこむ。
2人のコンビネーションはぴったりとあっていた。どこにも避ける場所などなかった。
だが
女は両手でそれぞれの突きを押し返す。
「つっ」
フリューベルは予想済みといわんばかりに最速で次の行動を起こす。
セツは女との距離を離されないように全力で槍を振りまわす。
傍から見たら2人の攻撃に女は防戦一方に見えた。
だが2人の猛攻を女はいとも簡単に受け流していた。
セツの顔に苛立ちが浮かぶ。まともにあたる感じがしないのだ。必殺の一撃をも数十回と打ち出している。だがそれは全て目の前の女には届くことがなかった。フリューベルも同じだ全て受け流されていた。
フリューベルは強引に女の足下に身を捻じ込んだ。強引なんてレベルではない女の右手を弾いた時女の体が流されるたのを見てフリューベルも万全の態勢でないのにも関わらず無理やり縮地で割り込んだ。
だがそのおかげでフリューベルは勝機を見出した。槍に絡回る風が突き出されると同時に最大出力で放出される。女に直撃すると空気が振動し空間ががたがたと揺れた。
更に追い討ちと言わんばかりに高く飛び上がったセツが槍を振りかぶった。同時にセツは己の体に掛かる重力を高め一気に加速した。放射状に風が割れている所に向かってセツは全力で振り下ろした。
セツもフリューベルと同じく風を纏わせ放出する。
風は十字に走りぬけようと更に強さを増す。普通ならこの時点で人は塵一つ残らないだろう。
だが相手はアビッサル最高峰に位置し執行者を軽く圧倒する存在。
ブチブチブチ
何かが無理やり引きちぎられるような音がした。先に反応したのはセツだった。
セツは空中であるにも関わらず衝撃を利用して飛び越えた。
やや遅れて放出されていた風が握りつぶされ空間がゆがんだ。
もう少しでセツは空間の歪みに巻き込まれミンチにされるところだった。セツはそれを空中で見送りながらぞっとしていた。
そして同じ攻撃をフリューベルにも放とうと手を伸ばしているのが見えた。
だがフリューベルは全く引く気がなく避ける仕草を見せなかった。
風が握りつぶされ更にフリューベルを握りつぶさんと手が伸びる。だがその手は炎を纏った2本の小太刀によって防がれた。リオがその手を弾き更に第2撃を振りぬいていた。女はそれを弾くと少しだけ後ろに引いた。
だがこれはフリューベルが描いた理想の攻撃であった。女はリオに向かって襲い掛かろうとしてつんのめった。女の足が床と同じく凍り付いていたのだ。
ナナリが遠くから気づかれないように床を凍結させたのだ。女は氷を無理やり引き剥がそうとするがそんな時間を彼女達が与えるわけがなかった。
エリスの手にはこれでもかと言わんばかりの光が圧縮されていた。全ての物質がこれにあたると対消滅を起こす。
エリスが手のひらを前に突き出すように掌を開くと弾かれたように光弾が発射された。
発射されてから僅か1秒で100m先にいる女へと直撃した。強烈な爆風と消滅の閃光が飛び散った。
フリューベルは閃光から逃れるようにリオを抱えて後ろに跳んだ。だが飛び散った閃光の方が速くフリューベルに届こうとしていた。だがフリューベルにあたる直前で床が盛り上がった。
やよいが床を隆起させフリューベルに届く閃光とぶつかり対消滅を起こしたのだ。僅かでも狂っていればフリューベルは助からなかっただろう。
そして閃光が消えた場所には女が無傷で立っていた。
「ちっ」
セツが険しい顔をして舌打ちをした。これでトドメができるとは思っていなかったが、流石に無傷とまでは思っていなかった。
だが、リオを抱き抱えていたフリューベルは僅かに口を吊り上げた。
フリューベルはこの時を待っていた。
そう、とーるが懐に跳び込む瞬間を。
女の背後にとーるが飛び込んだ。女はとーるの存在に気づき右手に発言した歪みをとーるに叩きつけようと振り向きざまに殴りかかった。
とーるはその右手に向かって全力で左の拳を叩きこんだ。左手が歪みを消滅させて女の右手を殴り飛ばした。完全に意表をついていた、女の体は完全に無防備になっていた。
「きっついのいくぞーーーーーーーーーーーーーーーー」
とーるは叩きつけた右手を引くと同時に右に宿した電撃をそのまま叩きつけた。
トールハンマーは女にクリーンヒットしその力を爆散させた。
女の体がものすごい勢いで後方に飛んだが態勢を立て直し床を滑走した。
「あれで無傷」
流石のエリスも戸惑いを隠せなかった。彼女の一撃は必殺の一手だった。だがこれを防いだ。さらにとーるの渾身のトールハンマーを耐えきるなど人では不可能といってもいい。だが現実に目の前の女は耐えきった。いや防ぎきったようにみえた。
「どうやら、そうでもないみたいよ」
リオは女の顔をみていた。リオの言葉から遅れて女の額から血が流れだした。
致命とはいえないが女が無敵でないことは実証できた。これで僅かに勝ちが見えた。
「やってくれる。まさかこんな人(おもちゃ)に傷をつけられるとは」
女は額の血を拭いながら立ち上がった。
「やはりあの時ころしておくべきだった」
忌々しそうにフリューベルを見た。リオは女から発せられる威圧に寒気を覚えた。
フリューベルはリオを庇うように一歩前に出た。
「愚かな、所詮は創られし存在。この世界の創造主に適うわけがないと思うのよ」
女の言葉にこの部屋に居た大半が絶句した。普通なら今の言葉は戯言で流せたであろう。
だが目の前の女はそれを真実といわしめるだけの力を持っていた。創造主が創られた者より優れていても可笑しくはない。ゆえに認識してしまった。彼女には適わないと。
「で」
だがそんな中でも戦う意思を失わなかった者がいた。
「細かいことはどうでもいいんだよ。ようはお前を倒せば全て終わるんだからな」
声の主はセツだった。既に攻勢の態勢をとっていた。
「紡げ風よ、いざゆかん時の向こうへ」
セツとは対角線上にいたフリューベルも槍を構え詩を紡いでいた。
ごぅ
フリューベルとセツを基点に風が吹き荒れる。
「いっくぜえええええええええええ」
セツの雄叫びと共にフリューベルも飛び出した。
「無駄なことを。・・・・風」
フリューベルとセツの槍がそれぞれ風を纏いながら突き出される。
女の右の掌からフリューベルと互角の風が打ち出された。
セツはフリューベルの立ち位置から90度横に飛び込んだ。
「安直ね、・・・重(じゅう)」
左の掌はセツの槍から発せられる風と重力による圧力を受け止めていた。
「ぐっっ」
セツは歯を食いしばり更に一歩前へ踏み込んだ。
「無様ね、昔の貴方ならこの程度ではびくともしなかったのに。もう一人の創造主」
女はセツを見下すように視線をむけた。
「えっ!!」
エリスから驚きと戸惑いが混ざった声が飛び出した。
それを見た女は何か思いついたような顔をした。
女はフリューベルを蹴り飛ばしつつセツの槍を掴み投げ飛ばした。
フリューベルとセツはそれぞれ宙で一回転して着地した。
「どうやら当事者2人を除いた人はしらないようだから教えてあげる。セツは元々私と同じくこの世界を作り出した創造主の一人よ。そこにいる男は責務を放棄し転生した愚かな奴よ。そしてその転生において力の半分を受け継ぎこの世界に産み落とされた存在がフリューベル。2人は元々この私と同じ存在つまり貴方達の敵」
女の言葉はエリス達5人に深く突き刺さった。
2人はこの殺戮の世界を作り出した根源にかかわっていたのだ。
エリス達は動揺を抑えようと必死に自分に言い聞かせたがそれでもショックだったことは否定できなかった。
「お前と一緒にするな」
フリューベルが今まで以上に強い殺気を放ちながら立ち上がった。
「セツは、あの混沌を生み出したことに後悔した。だからこそ創造主としての力を捨て直接この世界に関わる為に転生したんだ。この世界が幻」
女はフリューベルに一度視線を向け、セツを見た。
「混沌ね、貴方達からしてみればそうかもね。ただ、それは神の私からしてみれば世界の浄化でもあった」
「ざけんな、お前の起こしたあの現象で世界は一度滅びかけたんだぞ。セツがあの時犠牲にならなかったら既にこの世界は無人の世界になってたんだ」
女の言葉にフリューベルの怒りの言葉がたたきつけた。
「こい流絶」
フリューベルの言葉に槍が反応し緑の光を放ちその姿を現した。それに呼応するように瞳の色も緑へと変わっていた。
「フリュ、お前何時の間に槍を」
この事はセツも知らなかったようだ。
「お前達が寝てる間に少し細工をさせて貰った」
フリューベルは槍を斜め下に構えると一気に迅歩で女の前まで移動をした。
だが女はフリューベルの動きをしっかりと把握し下から振り上げられる槍に拳を突き出した。
だが、先ほどまでの一撃と違いフリューベルの持てる中でも全力に匹敵する一撃に女の拳拮抗していた。
「ぐ、さすがにこれは重いな」
女はついに残された左手をフリューベルの突き出した。突き出された拳の先から烈風が巻き起こされフリューベルの足下を吹き飛ばした。
フリューベルは寸前で女の背後に回りこむことでこれを回避した。
だが女も既に次の一手を繰り出したていた。
地面が隆起しフリューベルの体を上空へと吹き飛ばした。
「終わりだ、あの中で唯一対抗できるお前が最初の脱落者とはあっけないものだ」
女は何の感情も表さず拳を構えた。だがその拳を放つ直前にフリューベルが笑っていることに気づいた。
「かかったな。この時を待っていた」
フリューベルの言葉に反応して女の周りを7本の槍が突き刺さった。
「っ、これは」
女の声に焦りが混じっていた。フリューベルの意図していたことに気づいたのだ。
「さぁ始めるか、フリューベル一世一代の大技を」
空中でフリューベルは体制を立て直し8本目の槍に手を添えた。
槍はフリューベルの意思に従うかのように砕け散り掌に碧の球体へと変化した。
「おまえのその神格者としての権限を消し飛ばしてやんよーーーーーーーーーーーーーー」
フリューベルは叫びながら女に向かって風を纏いながら急降下した。
「おのれー作られた存在の分際で私に歯向かうなーーーーー」
二人の叫び声が交じり合いながら二人は激突し強烈な閃光を巻き起こした。
《レクイエム》
あまりの光の強さにナナリ達は目を逸らすしかなかった。
そしてその光の中からフリューベルが弾き飛ばされるように飛び出し地面に叩きつけらた。
「がはっ」
「ベル兄さん!!っ」
リオがフリューベルの前に駆け寄って息を呑んだ。
フリューベルの体のいたるところから血が流れ出していた。どう見ても致命傷であった。
「リオ・・・あいつに・・・・・付きまとって・・・・・・・いた絶対という・・・世界が崩れた」
ナナリ達が遅れてフリューベルの前に来て同じように息を呑んだ。
「げほっげほっ、セツ悪いなどうやら・・・限界がきたようだ」
フリューベルは口から血を吐き出しながら笑っていた。既に目も虚ろになっていた。
「馬鹿野郎、あれほど使うなといったのにお前は大馬鹿野郎だ」
セツはフリューベルの取った行動は最善の結果であることは知っていた。女はこの世界の創造者その気になれば世界を崩壊させれば全てが終わる。まして作られた存在が創造者に傷を与えることは無理であった。
だが唯一、フリューベルだけは女の力とは全く関係ない所で生まれた。ゆえにフリューベルの力だけは女にとっても脅威になったのだ。
「後・・・リオ・・・これを」
フリューベルは弱弱しくも手をさしだした。リオを探し手が空をさ迷った。
「あっ」
空を切る手をリオが慌てて握ると手が少しだけ輝いた。
「これは!」
リオの驚きの声をきいて満足したのかフリューベルは瞳を閉じた。
「セツ、ナナリ、とーる、エリス、やよい、リオ・・・後は・・・ま・・か・・せ・・た・・」
フリューベルの手がリオの手から滑り落ちた。
「うそだろ、おい!起きろベルさん返事をっ・・・・」
とーるがフリューベルの両肩を握った瞬間言葉を失った。
既にフリューベルは息をしていなかった。そしてそれはナナリ達全員がフリューベルがもう戻ってこない現実を叩き付けらた。
「ぐぅぅ己、あの人形め。許さない。もう世界なんてどうでもいい、全てを消し飛ばし作り直せばいい」
閃光の余波による粉塵が晴れ女がよろよろと立ち上がった。
女の体は無傷とはいえないが致命傷には見えなかった。そんな女をリオは静に女の方を向いた。
「許さないですって」
リオの俯きながら静かに言葉を発した
その静けさとは反して周囲の温度が上昇する。
「何も出来なかった。勝てないって決め付けベル兄さんが命がけで闘っていたのに諦めてた」
周囲の温度が上昇した空間がリオに吸い込まれる。
リオの言葉はセツを除く5人があの時感じたことだった。そして己の無力を嘆き諦めた。
「自分が許せない。でもそれ以上に」
リオが顔を上げた。歯を食いしばり両の瞳からは涙を流し怒りを全面に放っていた。
「私の好きな人を奪った貴方を許さないーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
リオの絶叫に呼応しリオの体を炎が包み込んだ。
「ちくしょーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
リオの声に呼応するようにとーるが叫んだ。
「やよいーーーーーーーーーー、いくぞーーーーーーーー」
ナナリが太刀を抜き全力で突進をした。
「はいっ」
やよいも唇を噛み締め悲しみながらナナリと一緒に突進をする。
「ベルさんごめんなさい。私達の心が弱かったばかりに」
エリスは悔やみながら剣を前に突き出した。そこから円形の光の輪が現れた。
「諦めない、ベルさんの全力を無駄にしてなるものですか」
エリスの刀身が光り輝いた。
「フリュ、見届けてくれ。俺達の全力を、そしてこの結末を・・・絶対に俺達は勝ってこの戦いを終わらせる」
セツの槍が姿を変え流絶の姿を現した。
「ふん、所詮作られし人形。私に逆らうなんて無駄なことよ」
女は空間に真っ黒な球体を無数に作り出し構えた。
「無駄かどうかは最後に決めることよーーーーーーーーーーーーーーーー」
リオの雄叫びと共に残されたもの全員が女に向かって襲い掛かった。

最後の激闘が始まった。かつては3人で始まった戦い、気がつけばその意志を共にする者は倍に増えた。いつしか一つの都市の行末も変えた。そんな戦いもこれが最後になる。
これより先の戦いは後の歴史にすら残されることのなかった悲しき聖戦であった。
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第44話:白氷の電磁砲

フリューベルが倒れてもセツとナナリの戦いは止まらない。
擦れ合う金属音と共にお互いの汗が飛び散る。
「絶纏:絶廻纏滅(ぜっかいてんめつ)」
「白氷爆砕」
ナナリの振り出し太刀は弧を描きながら、セツの槍は一直線に向かって振り出された。
双方の刃先が触れお互いの位置が入れ替わりつつも次の一撃へと動く。
「前の戦いでも俺の得物を破壊してくれたが今回はないと思った方がいいぞ」
セツは余裕の表情でナナリの太刀を弾く。
セツは太刀を弾いた槍をそのまま振りおろす。重力による加速のおまけ付きで振り下ろされた槍は残像を残して一瞬でナナリの後頭部に向かっていた。
ナナリは太刀を真横に掲げて受け止める。
「っぐ」
重いなんてレベルではないナナリでこそ受け止めれているがとーるがこれを受け止めたら間違いなく腕をへし折られているだろう。
「一つヒントを出そう。何故ナナリの動きが読まれるか、それはお前が冷静すぎるからだ」
(冷静すぎる?)
セツの言うことにナナリは理解ができなかった。戦場において冷静さは大事だ。次の動き方一つで勝敗が決まるなどということはよくある話だ。誤った行動をおこして死んでいった者をナナリは多くみてきた。ナナリが今まで紙一重で生き残ってきた戦いも最後は冷静な判断があったからこそ掴み取れた。
だがセツはそれが動きを読まれる原因といってきた。一体何故?
「確かに守ることにおいてナナリの冷静な判断力は俺たちの中でもトップクラスだろう。だがそれは守りにおいてだ」
セツの槍を突き動かす速度が1段階あがった。ナナリは体を左右に振り突きを紙一重避ける。
足下を狙った払いは足下に氷柱を作り受け止めつつカウンターとして踏み込みながら太刀を振り抜く。
がセツは予想したかのように太刀が振り出される前に回避していた。
セツはふふっと鼻で笑っていた。
「はぁぁ、ダメダメだな」
セツは呆れた声で溜息をついた。ナナリのコメカミがピクッっと反応した。どうやらあまりの言い草にカチンときたようだ。
「仕方ないこっちからギアをあげいくか」
セツは槍を振りまわすと右、左と斜め上から振り下ろした。
槍からカマイタチが発生しナナリへと襲いかかる。だがその程度ナナリにとって弾くことも避けることもできた。
だが次にとったセツの行動に驚きを覚えた。
カマイタチよりも前にセツが現れたのだ。このままだとセツはカマイタチをまともにうける。
セツの無謀とも取れる行動にナナリは驚かされ回避のタイミングを失ってしまっていた。
セツはそのままナナリに向かって槍を振り下ろした。
・・・様に見せナナリよりも少し手前の床に突き刺しナナリの頭上を越えていった。
(しまった!!)
この瞬間ナナリはセツの意図に気づいた。
セツはまずカマイタチの後の行動でナナリが怯むことを前提に動いていたのだ。そして次にナナリを攻撃するというブラフで更に動揺を誘いカマイタチと自分でナナリを挟み込もうとしたのだ。
まさかの2重の意外な行動にナナリはまんまと引っ掛かったのだ。
「流絶:風縛」
セツの槍が大きく唸りをあげるとナナリの太刀を絡み取りながら宙に吹き飛ばした。
カマイタチがナナリの目の前まで迫る中での得物を失うことは致命的であった。
「氷陣壁」
ナナリは左手に氷の壁を作り出しカマイタチを受け止めた。
だがこの行動はナナリにとって最悪の選択であった。
「風絶:烈風十破」
セツの槍がナナリに届いた瞬間爆発したかのような衝撃がナナリを襲った。
セツの突きは風の塊を押し出していた。そしてその風をもう一度突くことで風の塊を更に加速させる。
これを連続で9回行ったのだ。加速に加速を重ねた塊は爆発的な力を持ちナナリに激突する瞬間に10度目の突きで力を前方にのみ爆散させたのだ。
ナナリは体をくの字に折りながら地面を数回バウンドし壁に叩きつけられた。
完全に決まった。セツは槍を構え止めとばかりに飛び出した。
「終わりだ、安らかに眠れ」
セツは仰向けに倒れたナナリに向かって容赦なく槍を振り下ろした。
あたればナナリは死にはしなくても大けがをしてこれ以上戦えない体になるだろう。だが槍はナナリに届くことはなかった。
「邪魔をするな、やよい」
セツの槍はやよいのレイピアによって受け止められていた。だが元来レイピアは唾競合いに向いていない。少しずつ押し込まれていた。
「セツ、あんた本気なの?ここでナナリを斬って何があるのよ」
「この後に待つ戦いに比べたら俺に負けるなら行かない方が身のためだ」
ナナリは更に押しこむ力をあげた。
「うぅ」
やよいは押し込まれ苦痛を漏らしていた。
セツは槍を押しこむ力を緩めると小さくステップを踏みやよいの懐に飛び込んだ。
「しまっ」
やよいは膝に力を入れていたためこの動きについていけなかった。
セツの容赦ない蹴りが叩きこまれ。やよいの体が後ろに吹き飛ぶ。
ざざぁぁと音を立てやよいは前屈みになりながら着地した。
やよいはなんとか後ろに跳ぶことでダメージを最小限に抑えた。だがそれでも膝が地についてしまった。
「まだやるのか?」
セツの冷たい声にやよいは背筋が凍った。だが
「当り前よ、あんたなんかあたしで十分よ」
やよいは震える体を強引に抑え立ち上がった。
「やめろ、やよい逃げるんだ」
ナナリは未だ立ち上がれず叫ぶしかできなかった。
やよいは一度ナナリを見ると少しだけほほ笑んだ。だがそれは覚悟を決めた事が窺えた。
「ならばやよい、先にお前から消えてもらうか」
セツは腰から弾丸を取り出すとやよいの頭上に向かって投げる。
やよいはセツの狙いを正確に読み取り床を隆起させて分厚い壁を作り出した。
「降り注げバレットレイン」
弾丸は名の如く雨のようにやよいに向かって降り注いだ。壁に直撃し粉塵をまき散らすがまだ弾丸の雨は止まらない。ナナリはその様をただ見つめることしかできなかった。
そして
粉塵がはれてくるとそこに2人が交差した後の姿が見えた。
「バレットレインを凌ぐとは驚いたぞ。だがそれでもお前は俺に勝てないんだ」
声の主はセツだった。
「うっ」
やよいはふらっとすると床に倒れ、ぴくりとも動かなくなった。
「1人目か」
セツの容赦ない言葉にナナリは頭の中が真っ白になった。
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
ナナリは絶叫した。そして己の無力さを呪った。セツを恨んだ。
だがこの時ナナリの中で何かが弾けた。
力が欲しい、目の前にいる敵を倒す力。大事な人を奪ったあれは敵だ。
敵は滅ぼす。
ナナリは太刀を床に突き刺し立ち上がった。だがとっくに限界を超えふらついていた。
「さてトドメだ」
セツは立ち上がったナナリに違和感を感じたが気にせず弾丸を投げた。
「殺しはしない。だがナナリの旅は終りだ。降り注げ鉛の雨」
重力の増した空間が弾丸を加速させて降り注ぐ。流絶とは全く違うセツの切り札でもある。
今のナナリに防ぐ程の力は残っていない。
はずだった。
「まじかよ」
セツは目の前の光景に絶句した。
そこにはナナリの前で弾丸が止まっていたのだ。
一体なにがあったのか分からなかった。だがセツは多くの仮定の中から答えを導き出した。
「否定したのか」
弾丸はそのまま加速する力を失い床にちらばった。
「固有結界:空間凍結」
ナナリの低い声と共に雑音が全て消えた。
「極零封結界の真の姿。物理運動を凍結することによって全ての運動を零へと返す」
ナナリの声だけが空間を支配し全てを飲み込もうとする。
セツは弾丸を宙へ投げると弾丸は時が止まったように宙で固定されていた。
「なるほど、これはまた面白いことを」
形成が逆転したのは明らかだがセツは全く動じていなかった。むしろこの状況を楽しんでいた。
セツは軽くステップを踏むと瞬時に固定された弾に向かって槍をたたきつけた。
弾丸は少しだけ進むと勢いを失い砕け散った。
どうやらセツの手から離れたものは全て問答無用でナナリの支配圏にはいるようだ。
それは解き放たれた力も例外にならない。セツは弾丸を弾くと同時に風の刃を飛ばしたつもりだったがそれも途中で霧散してしまった。
「展開」
セツの足元に陣が具現化する。
「流絶:真名の陣。本当の姿を見せろ」
セツの手にある槍が砕け再構成される。
「雪月華」
セツの槍は白く変化し神々しさがあった。
雪月華、この槍にはセツを含む3人の不変の絆が込められたことによって名づけられた槍。
雪、今はもうこの世にいない妹のエルが入団した季節は冬
月、3人の中でフェンリルに最後に入団したフリューベルは秋
華(花)、雪月華の持ち主のセツが入団した季節は春
その名を合わせることによって生み出された槍。エル亡き後、セツはフェンリルを抜ける時にフリューベルにこの槍を彼に託そうとした。だがフリューベルはこれを頑なに拒否をした。
『全てはセツお前の元から始まってるんだ。お前がそれを持っている限り俺達は再び会うことができる』
フリューベルはエルを失ったことにより一時的に力を封じ、槍をもつこともできなかった。
だがフリューベルはセツが雪月華を持っているなら次会う時には立ち上がっていると約束をした。
その約束どおりフリューベルは力を取り戻しセツとであった。この槍は3人がこの世にいたことを残す確かな存在でもありセツとフリューベルの支えでもあった。
純白の槍はどこまで綺麗であった。
「神無水月」
太刀から蒸気が発し凍結する。セツはバレットレインも飛び道具も使えないがナナリは例外であった。
だがナナリもあえて近接戦を選んだ。それだけ自信もあったが、それ以上にセツの得意とする近接戦を制さない気がすまなかった。やよいを斬ったセツを許せなかった。
「はっっ」
先に動いたのはセツだった。縮地を使った飛び込みは今まで以上に鋭くそして振りぬかれたからは強烈な重力がたたきつけられた。ナナリはそれを受け止めた。
ナナリの体が重力に圧迫され押し込まれる。
だがその数秒後ナナリはとんでもない力で押し返してきた。
「うぉぉぉぉぉ」
怒号とも聞こえる声をナナリが発していた。今までのナナリには見ることのできなかった怒りの力が彼を後押ししていた。そしてナナリはセツの槍を弾き返すと上体を捻り回し蹴りを放つ。
足の先は凍結し氷の刃ができていた。ナナリほど器用に部分単位で使う者もそうはいないだろう。
<烈蹴氷砕>
ナナリの蹴りはセツが間一髪の所で身を捻り避けられたが氷の刃が僅かにセツの右腕を掠めた。
セツは僅かにバランスを崩しながらも迎撃の態勢をとろうとした。がナナリは追撃をかけなかった。
セツは一瞬ナナリが余裕を見せて追撃をしなかったのかと考えたが瞬時にそうでないと判断した。
(なるほど空間凍結と組み合わせで最大の効果を発揮するのか)
ナナリはセツの全ての攻撃を受け止めるつもりでいるのだ。
遠距離のない相手は接近戦で勝つしかない。だがそれを全て封じられたらどうなる。
それはセツにとってチェックメイトになるということだ。
そんなことができるのかは分からない。だが目の前にいるナナリならやりかねない迫力があった。
「とんでもないのを呼び起こしてしまったのかな」
セツは笑みを浮かべながら再度飛びこんだ。
ナナリはセツの死角を突く一撃を全て受け押し返しカウンターを叩き込んでいった。
だが完璧には受け止めれてはいなかった。セツの速度と一撃の重さによって少しずつ傷がついていた。
だがセツもそれ以上に傷が広がっていた。セツの方が若干押されているのだ。
だがセツにはまだ秘策があった。
「流絶の極:閃地」
セツが踏み込んだ瞬間床が爆発した。セツはフリューベルに匹敵する速度でナナリに突っ込んだ。
止まる気はない。己の体こそが弾丸となり突撃する。閃地とは迅歩や縮地と違い移動する技術ではない。ただ突撃することに特化したいわば捨て身の技なのだ。だがそこに特化した破壊力は生身で受けることは死を意味していた。
ナナリもこれに反応はしていたが、回避する時間はなかった。
今までにない力をナナリは太刀を横に寝かして両手で完全防御の体制で受け止めた。
「ぐぎぎぎぎ」
ナナリは耐える。ひたすら耐えた。
いつ終わるかも分からないこの一撃をただひたすら受け止め耐えた。
「負けられない」
ナナリの足が一歩前に踏み込んだ。
ナナリの頭に浮かんだのはやよいの姿。その瞬間ナナリの結界が収縮した。
ナナリの体に吸い込まれるように結界はきえていった。そしてナナリの背に獅子の姿が現れた。
「唸れ神無水月、氷解爆砲」
ナナリの太刀から空間全体にあった水分を取り込み解き放った。
まるで絶対零度の電磁砲(レールガン)であった。
セツとナナリの力のぶつかり合いは互角だった。
(負けれない)
ナナリは右手だけで太刀を支えるとこともあろうか打ち合っているにもかかわらず左手を床につけた。
セツはナナリの行動にぎょっとした。
(おいおいマジかよ)
セツはナナリの行動が何を意味しているのか分かった。だがどうすることもできない。
「ゲイ」
ナナリはそのまま前宙するように回転すると太刀を蹴り出した。
「ボルグ」
蹴る瞬間に太刀の刀身をセツに向けていた。一瞬でも間違えれば吹き飛ぶのはナナリであっただろう。
だが正確に素早く動いた結果その一撃は見事に決まった。
右手から飛び出し続ける水流の中心を太刀が真っ直ぐ突き抜けた。
どごん!!
部屋中が振動しナナリは衝撃を受け大きく後退した。
着地し結果を確認するように視線を向けるとそこにはセツが仰向けになって倒れていた。
「トドメをしないのか」
セツは意識があるようで真上を向いて呟いた。
「セツ、私の体質を忘れたとはいわさないですよ。あの時全く音がしなかったのですから。とはいえ気がついたのはつい先ほどですけどね」
ナナリの言葉にセツは「たはは」と笑った。
「なるほど、気づいていたわけだ。やよいもういいぜ」
セツの言葉に部屋の端で倒れていたやよいの体がぴくりと動く。
「まったく、失礼しちゃうわ。女の子に死んだフリをさせるなんて最低よ」
やよいは起き上がると服をはたいてセツを睨んだ。
「悪い悪い、責任はナナリが取ってくれるさ」
「おいおい」
セツの無責任な言葉にナナリはあきれた。
「いや、折角力を引き出してやったんだから感謝してくれよ」
ここまで無責任だと返って清清しいといえる。
ナナリは苦笑いをした。
それから少しして近づいてくるやよいを思いきり抱きしめた。
「ちょっと、ナナリ一体どうしたの」
やよいはぼんっという音と共に顔を真っ赤にしてうろたえた。
だがやよいはナナリの体が震えている事に気づくと優しく抱き返した。
「大丈夫よ、私は何処にも行かない。ナナリを置いて行く訳がないよ」
やよいの優しい言葉にナナリは無言で頷いた。
それを見てやよいは少し安心したようだった。
「そういやフリュはどうなったんだ」
セツは自力で立ち上がりながら振り向いた。
視線の先にはいつからいたのかリオとエリスがいた。リオは膝枕をしているのが見えた。だがフリューベルは全く動こうとしない。エリスととーるもただ視線を床に落して何もいわない。
「まさか」
セツは真っ青な顔をした。
その顔を見たナナリとやよいも表情を暗くした。
セツは重い体をひきずりながらもフリューベルの前に辿り着く。
リオがセツに視線をむけると口に指をあてた。
「すーーーーすーーーーー」
かすかな寝息が聞こえた。
「こいつ寝てやがんのか」
セツは呆然としていた。
「ベルは私達以上に激戦を生き抜いてきたんだ。負担も大きかったんだろう」
やよいに肩をかしてもらいながら近づいてくるナナリが言いながら見下ろした。
体中傷だらけになったフリューベルはあまりにも痛々しい姿だった。
「ナナリさんこれからどうする」
とーるも流石に起こす気はないらしく床に座り込んだ。
「そうだなー、もう突入してから30時間はたっている、流石に疲れも出てるだろうし交代で休もう」
ナナリの言葉に全員が一度うなずいた。
「んじゃ俺が見張りしとくか」
セツはフリューベルの握っている槍と自分の槍を入れ替えて立ち上がった。
「セツさん、貴方も相当無理をされてるのですからここは私が」
エリスがナナリに詰め寄ろうとするするよりもセツが手を伸ばした。
「エリスはリオと一緒に他の奴らの治療を頼む。流石に俺は苦手なんでな」
セツは無邪気そうな顔を一度だけ向けた。
エリスはセツの顔をみて頷いた。
これから7時間後、歴史史上最大の戦争が始まる。
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