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REQUIEM館

第2話:アカデミーの日常

ビットは渡された服を着てみた。
本音をいうとあんまり似合っていなかった。
作業服に胸当てを着けた気分であった。
ビットの最初の職はノービスというらしい。
ちなみにノービスは誰しもが絶対に経験する最初の職でありその先から各種職へと転職していく。
「やべ、のんびりしてると遅刻してしまう」
ビットは急いで荷物をまとめると急いで部屋を飛び出した。
向かう先は前日も訪れた受付であった。
受付の前に行くと受付嬢のアリアと話している男性がいた。
「あ、きたきた。ビット君紹介するね今回君の担任になるブラウン先生です」
「よろしく」
ブラウンと紹介された男が笑みを浮かべて手を差し出してきた。
「よろしくお願いします」
ビットはブラウン先生の手を握り返した。
見た目は白髪の短髪に180cm程度の背丈、更に整った顔立ちをしている。性格も悪くはなさそうだ。
「ノービスの君には基本知識と初歩の戦闘訓練をしてもらうから心して挑んでほしい」
ブラウンの言葉にビットは頷いた。
ビットは訓練と聞いて舐めていた。

1週間後
「腕の振りが甘い、それでは一生転職できないぞ」
ブラウン先生の怒鳴り声が響き渡った。
訓練が始まったのは6時間前、そこからぶっ続けで訓練を続けていた。
校内マラソンから始まり、腕立て伏せ、100m走、瞑想、そして現在素振りをやらされていた。
「し、しぬ・・・」
ビットの顔は誰が見ても分かるぐらい限界にきていた。
しかし、ビットはそれでも倒れずにひたすら素振りを続ける。最初のころは2時間も訓練してたらへばっていたのだからかなり成長である。
だがビットはよく頑張っていた。付近をみれば既に脱落者の山が出来上がっていた。
ビットを除けば1人だけ今も素振りを続けているものがいた。
「そこまで、最後までついてこれたのはあきらとビットか」
ビット以外に最後まで耐え抜いた者の名はあきら。
クラスの中でも人一倍大人しかった記憶がある。
確か彼の希望職はシーフだったはずだ。
シーフ、盗賊とも呼ばれている職。基本足が速く小回りが利く職であるがその反面打たれ弱いところがある。
「お前たち二人は明日、転職試験を受けてこい」
大体であるがノービスから転職までは平均半月から1ヶ月程度と言われている。
そういう意味ではビットはかなりの早さで試験を受けることになる。
「それでは今日の訓練はここまで、解散」
ブラウン先生の言葉に脱落した者たちもふらつきながらも立ち上がり礼をしそれぞれの部屋に戻っていく。
ビットはそれを後ろから眺めながら某ゾンビゲームを思い出した。
そうこうしていると、訓練の後片付けを終えたあきらがビットの前を通り過ぎた。
「あ、ちょっと」
ビットがあきらに声をかけようとしたが何と言えばいいのか分からずに戸惑った。
「俺のことはあきらでいい。それで何か用か」
あきらは仏頂面でビットを見ていた。
「えーと、あきらさん。明日はお互いに頑張りましょう」
「ああ」
ビットの言葉に素気ない返事をしてあきらは去って行った。
ビットはちょっとばかし苦笑いを浮かべて部屋に戻って行った。


夜が明けビットとあきらはそれぞれ教官室に連れて行かれた。
「それで今回の試験の前にそれぞれの希望職を聞いておきましょう」
ブラウン先生が机越しに訪ねてきた。
「俺はシーフを希望しています」
あきらは間髪いれずに答える。
「えーと、希望がない場合ってどうすればいいですか」
ビットの迷いがこもった声が答える。
ブラウン先生がふむっと言った感じで考え込む。
「そうですねー、ビット君は見たところ近接戦でのポテンシャルがかなりのものですから剣士になってはどうでしょう」
ブラウン先生の指摘通りビットの近接戦での評価はかなり高い。
この世界では、6つのパラメータで個人の評価がされている。
STR・・・ストレングス。筋力。
AGI・・・アジリティ。俊敏性。
INT・・・インテリジェンス。知識。
VIT・・・バイタリティ。体力。
DEX・・・デックス。器用さ。
LUK・・・ラッキー。運
と分類されるがこの中でSTRとVITが飛びぬけて高く評価されているようだ。
ビットは少し考え込んで決心がついたようだ。
「わかりました。剣士を希望します」
「それではこれにサインを、2人はそれぞれ試験場所まで転送されるからそこで話をきいてくれ」
いい終わると二人の足元が光り始めた。転送ゲートが開いた時におきる現象である。
二人はそのまま教官室から姿を消した。
ブラウン先生はコーヒーを飲むと窓から空を見上げた。
(嫌な雲行きだな)

ビットは意識が覚醒すると目の前に大きな建物が見えた。
ビットは一度、深呼吸すると扉をあけた。
扉の先には一人のガタイのよい男が椅子にすわりじっとしていた。
「あのー剣士の転職試験を受けに来ました」
ビットはおずおずと男に近づくと男は一枚の紙を突き出してきた。
「名前を書け。書いたら向こうの部屋にいる男に話しをしろ」
と簡潔に言うと紙だけを押しつけて椅子に座りなおした。
(んー剣士ってみんなこうなのか?)
ビットは自分が剣士の道を選んだことに少しだけ後悔を覚えた。
紙に名前を書き込み机の上に置いて言われたとおりの部屋に進むとそこには門番っぽい格好の男が待っていた。
「君が今日の受験者か」
「はい、よろしくお願いします」
門番の男がビットに尋ねるとビットは丁寧に返事をした。
「試験はいたって簡単だ。このゲートを潜って最奥まで到達できれば合格だ。万が一落とし穴に落ちてもどこかに階段があるから焦らないようにしてください。それではご武運を」
門番の男の声を尻目にビットはゲートへ勢いよく飛び込んだ。
・・・
・・・・・・・
・・・・・・・・・・
「で、これは一体どういうことだーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
ビットはブレイドで襲いかかってきたモンスターを斬り倒す。
『ポリーーーーーン』
断末魔にしてはいまいち緊張感のない声が室内をこだまする。
『グルルルルルルルル』
どこからともなく狂暴そうな声が聞こえた。
「げーーーーー」
ビットは一目散に逃げ出した。狂暴そうな声はビットの気配が遠くなるのを感じたのかビットを追いかけてきた。
「だーーーーーーーー、何であんなとこにキメラがいるんだよー」
キメラ・・・見た目はライオンっぽい姿に背中から蛇が生えているモンスター。
ビットが到底かなう相手ではなく先ほどから逃げ回っていた。
「なんでこんなことになったんだ」
ビットは逃げながら先ほど起きたことを考えた。
簡潔に説明するとビットの先に橋があった。橋の上を歩くと橋が折れた。
折れた橋から多数のモンスターとキメラが現れた。
以上
想定すると橋の素材が古木の枝というアイテムで作られた橋だと思われる。
古木の枝・・・折るとランダムにモンスターを召還するはた迷惑な枝である。
「だがある程度召喚されたモンスター達も倒したし今なら突破できる」
ビットは少しだけ自信ありげに振り向いた。ところで言葉を失った。
『ぐぉぉぉぉぉぉぉぉぉ』
キメラが雄たけびをあげると目の前に弓をもった浮遊モンスターのガーゴイルが現れた。それも5体もだ。
「ちょーーーーーーーーーーーーーー」
ビットは叫びながら全力で走る。
「いで、いだだだだだだ」
背後からガーゴイルが矢をこれでもかというくらい撃ってきた。さすがに距離があるので大半はよけていたが何本かビットに命中していた。
そのうちの一本がビットのお尻に突き刺さったようでビットはお尻を押さえつつ逃げる速度を更にあげた。
かなり間抜けな格好であった。
『がぁぁぁぁぁ』
キメラの右手が振り下ろされてビットの真横の床が吹き飛んだ。
「ちょ!」
ビットは吹き飛ばされた反動で空中で一回転しそのまま地面を転がった。
「いててて、なんつー馬鹿力だ・・・ってあれ」
ビットは痛みを堪えながら顔をあげて気づいた。そこには上へ向う階段があった。どうやら逃げ回ってるうちにたどりついてしまったようだ。
ズンズンという音が後ろから近づいてくる。
「やば」
ビットは気合で立ち上がると急いで階段をのぼりはじめた。
「この幅ならあいつはこれないは・・・・」
ズガガガガガ
キメラが強引に側面の壁を削りながら登ってくる姿を見せてビットは絶句した。
「なんつー強引なんだ」
ビットは半分呆れていた。それほどにもキメラの行動はむちゃくちゃだった。
しかしキメラの猛追は意外な展開で幕を閉じる。
ミシミシ
階段にヒビが入りそのまま階段が崩れ落ちた。
どうやらキメラの体重に耐えきれなかったようだ。
「えーと助かったのか」
ビットはその光景を見届けると腰を抜かしたように床に膝をつけた。
「本気で死ぬかと思った」
ビットは穴があいた階段を見下ろした。そしてある事に気づいた。
「これもう一回おちたらどうなるんだ」
ビットの中で色々とシミュレートして顔が青くなった。
「と、とりあえず注意していけば大丈夫。・・・・タブン」
その後はビットの取り越し苦労でもあるかのように淡々と先へ進むことができた。
『おめでとうございます。本日の試験No001ビットさんは合格となりましたここを出ましたら入口の受付の者と話をしてください』
機械的な声が室内に響くと目の前に最初と同じゲートが開いた。
ビットはゲートに入ると最初に入った部屋に戻されていた。
「うむ、合格したようだな。今日から君も立派な剣士だ。剣士として恥じぬよう日々鍛練を積んでくれ」
ガタイのよい男がニッと笑みをみせた。
「はい、ありがとうございました」
ビットは一例をすると蝶の羽を取り出し上空へと投げた。
蝶の羽が空中で光の粒子にかわるとビットを包みこまれると姿を消した。

ガタイのよい男がビットが消えたのを見ると天井を見上げた
「それにしてもあの試験を突破するとはなー」
「そうですね、ブラウンさんからの頼みであの試験を選びましたが。あれここ数年突破した人いなかったですよね」
門番の男が考え込むようにして言うとガタイのよい男はフッとわらった。
「ビットっていったな。あやつの今後が楽しみだな」
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新章:ようこそアカデミーへ

ジリリリリリリリリリ
けたたましい音が部屋中に響く。
現在の時刻は朝7:00とめざし時計が時刻を記していた。
「んーーーー」
どこからともなく手がにゅーーーっと伸びてくる。出てきた場所を見るとベットの中からのようだ。
カチっという音をたてて目覚しい時計の音が止まる。
「ふぁぁぁぁ」
大きな欠伸をしながらもベットからもそっと170cmくらいの青年が出てくる。
「えっと今日は登校日だったような」
青年はカレンダーをチェックするとそこには8月10日と記されて日付の上には赤く丸がされていた。
青年は面倒くさそうに鞄の中身を整理すると制服に着替えだした。どうやらブレザー指定の学校のようだった。
遅くなったが青年を紹介しよう名前は羽山 透、年齢は16歳のとある公立学校の高校生。
取りえや特技といったものもほとんどない、極々一般の高校生であった。
この物語はこれから彼が経験する、普通ではないお話。

「おう透、元気にしてたか」
学校の席に着くと知り合いが話しかけてきた。
「元気にはしてたかな。普段と全然変わりはないさ」
「ほほう、でさ3組の加藤がさ彼女つくったらしいよ」
「へー」
ありきたりな話をする。特にこれといった変わった話はなかった。
「そういやさ、今話題のオンラインゲームがあるんだがなんて名前だったかな透は知ってるか?」
「いんや、全く」
透は首を横に振って答える。
「なんでも、最近始まったらしくてさ結構な人気が出てるんだってさ」
「ああ、俺もそれ聞いた。結構期待されてるんだってな」
透は友人達の話を聞いてフーンと相槌を打っていた。
聞いてる話をまとめると2Dキャラを動かしてモンスターを倒していくゲームのようだ。
キャラには様々な職が存在してそれを極めていくゲームでもあるらしい。
「面白そうだね」
透も友人達同様に興味をもったようだ。
わいわい話してると突如透の頭に声が聞こえた。
(見つけた)
透は辺りを見回す。
「どうした透、何かあったか」
友人が訝しげに透をみた。
「今、見つけたって声が聞こえたんだが」
「夏休みボケして幻聴きいたんじゃないのか」
友人達はケラケラと笑って冗談をいう。だが透は納得できないのか考え込んでいた。
その後は声は全く聞こえることもなく。
HRを迎えそれも何事もなく終わる。
終わるはずだった。
「それでは、残りの夏休みも有意義に過ごしてくださいね」
「起立」
担任の言葉に委員長が号令をかける。
生徒達は立ち上がる、透も立ち上がる。
その時異変が起きた。
(見つけた。見つけた見つけた見つけたーーーーーー)
先程聞こえた声と同じ声が透の脳にガンガンと響き渡る。
透は頭を抑えながら辺りを見回す。その時に気づいた。
先程までいたはずの生徒や担任がその場に居なかったのだ。
透はよろめきながら壁にもたれかかった。
「一体なんなんだ」
あまりの事態に透は混乱していた。
そして足下が光り始めた。
「うわ!!!」
透は教室の扉をあけようと走るが遅かった。
足下に円ができその中に六芒星が浮かび上がる。周囲にはよく読めない記号もうかんでいた。
僅かに遅れて次は天井が光り、次の瞬間は透の意識は失われた。


その時とある世界で一つの流れ星が大空を流れた。
「流れ星、か何度も見てるはずなのにあれは今までと違う」
1人の青年が広大な砂漠を歩きながらその流れ星を見つめた。
「それではいってきます」
まだ少年とも見える男の子は室内にあった写真立てを伏せてから家をあとにする。


ズドーーーーーーン
大きな音を立てて
透は地面に墜落をした。かなりの高さから落下したようにも見えたが膝をすりむいただけであった。
「てて、なんだよいきなり・・・・・・どこだここ?」
透はキョロキョロと見渡すがあたりは平原で他には全くといっていいほど何もなかった。
「どうされました?」
突如背後からの声に透はびくっと跳ねながら振り返った。
そこには修道女のような格好をした女性が前かがみになりながら透を見下ろしていた。
女性は透を見てにっこりと笑顔をしてみせた。
どこぞのハンバーガーショップのスマイル0円とは違い温かみがあった。
「見たところ、異国の土地の人ですね。あら怪我をしてますね。じっとしててください」
女性は透の膝の前に手を捧げると小さく祈り始めた。
「主よ、傷つき迷える者に癒しの雫を」
<<ヒール>>
透の膝の傷がみるみる内に消えていく。透は何が何なのかよく分からずただじっとしていた。
「ふぅこれで大丈夫ね。ってあれどうかしましたか」
呆然としている透をみて女性は訪ねた。
「貴方は一体何者ですか。傷を一瞬で治すなんて普通じゃない」
我に返った透は後ずさりながら女性を見た。
「えっともしかして魔法をご存知ないのですか」
「マホウ・・・」
透は素頓狂なこえで女性の言葉を繰り返した。
「はい、私プリーストですから治癒系の魔法が使えますね」
「プリースト?治癒系の魔法????」
もう透には訳が分からなくなっていた。これ以上何か言われるようなら脳がオーバーフロー起こしそうであった。
「えーっと、何だか本当にわかってなさそうですね。それならアカデミーに行ってみて下さい。受付でアイラの推薦でといってもらえれば大丈夫だと思います」
女性は杖を掲げるとまた祈りを始めた。
「時空の管理者よ、主の代行者たるアイラが命じます。彼の者をあるべき場所へと導きたまえ」
<<ワープポータル>>
女性の声の後に白いゲートが浮かび上がった。
「これに乗ってください。後はその先の受付で話を聞けばわかります」
透は半身半疑ではあったがこれ以上ここにいても何も分からないことだけは分かっていた。
女性の勧めを受け入れゲートに乗った。空間が暗転してすぐに別の場所が浮かび上がった。
「あらあら、いきなりここにくるなんて珍しいわ。何かありましたか」
正面に机があり、そこには中世のような格好の金髪の女性が立っていた。
「えーっと」
透は困り果てた顔をした。何か言わないといけないんだが・・・
透の目に映ったのは金髪の女性の隣に受付とアリアと書かれたネームプレートが立っていた。
「あっ、アイラさんって方の推薦でここにきました」
受付の女性が目を見開いて驚いていた。
「アイラの推薦って。ちょっとまってね」
受付の女性が手を翳すと何もないところにコンソールが現れた。
「!!!!!」
いきなりの出来事に透は今日何度目かの驚愕を覚えた。
「確かに登録されてるはねあなた名前は?」
受付の女性は半身半疑で尋ねてきた。
「とお・・・・・Bit=Crowd(ビット=クロード)です」
「Bit=Crowd君ね。よし、これで手続きは完了。今日からビット君はアカデミーの一員となってもらいます。部屋はこの廊下を突き当たりに行ったら階段があるからそこを上ってね2階の5号室、205が今日から貴方の部屋になるわ」
受付の女性は透もといビットに鍵を渡す。どうやら部屋の鍵のようだ。
「これから貴方は新たな人生を迎えるために色々と勉強をしてもらうわ頑張ってね」
透は完全に頭がパンク状態でただ頷くだけであった。
そんな姿を見た受付の女性は笑いそうになっていた。
「ふふっ、ようこそ冒険者アカデミーへ」
これよりビット(今後はこちらの名前を使います)の冒険者生活が始まる。



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設定

フリューベル・・・3人の中で年齢は真ん中、基本は冷徹。3メンバーの中ではリーダー的存在。主にスナイパーライフルを扱い一撃必殺を得意とする。基本的に苦手な物は少なく近接戦も行う。過去の経歴に謎が多く本人も話そうとはしない。実際は慣れ親しんだ人にはよく話をするが敵意、殺意を纏う姿が定着して一部のものしか彼の本当の姿を知らない。


ナナリ・・・3人の中では年長者、お人よしで基本頼まれると断れない性格。過去に何があったのかはわからないが仲間を失うことを極度に嫌う。親しい人のことになると自分が危険にさらされようとも飛び出す所がある。反面敵と認識したものには容赦がない。得意武器はヘビーマシンガン。アサルト関係も使いこなす戦場の要である。


とーる・・・3人の中では一番年下。熱血で情に厚い、戦闘では常に危険な前線にいる。3人の中では一番身体能力が高く、彼の機動力についていける者はあまり多くはない。
しかし年齢的にも若すぎるため些か不器用なのと判断力が欠けている所がある。
幼いころ「死神」と呼ばれていたことがあるらしいが事実かはさだかでない。得意武器は主にアサルトライフル及びショットガン。
フリューベルとナナリの師事の元現在は他の武器も勉強中。
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あとがき

まずはこのサイトの小説を読んでくれた皆様へ感謝を申し上げたいと思います。
振り返れば何の考えもなくいきなり書き始めた小説。
第1話の日付見ると2008年1月29日ですよ。丸2年という期間を有して書き上げました。
というか完走できたことに私ですら驚きを覚えています(オイ
最初のころは思いのままに書いてたつもりが途中で自分の書いた内容によって四苦八苦する始末。
それでも書き続けると今度はネタがなくなりどうするべきかと悩む始末。
で、一番悩んだのって実はタイトルなんですよ。
ストーリー書いてさてタイトル何にするかと1週間悩んだこともあります。
一時期はすごいペースで書きあげてたのですが体調不良や転勤といった事もありペースはどんどん落ちていくこともありました。ですがそれでもやってこれたのはここを見に来られる方のコメントや私の携帯に直接応援のメッセージを送ってくれた方達のおかげだと思います。
途中携帯を車に踏みつぶされるという悲惨な事件がありました。
お陰で未だに連絡が取れない方もいます。もしよけらばメールを貰えればうれしいです。
さてずらずらと書きましたが物語はこれで終わりです。

ちなみに次回作を現在検討中です。その時はまたここに書いていくことになりますので決まりましたらまたアップしていきますのでよろしくお願いします。
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最終話:終焉そして始まりへ

「ここはどこだ?」
とーるは目を覚ますと見たことがない場所にいた。
空間がグニャリと歪見続け他はまったく何もない世界だった。
いまだ状況の把握ができず辺りを見回す。
「確か俺はトリガーをひいて・・・!!」
とーるの思考が瞬時に覚醒する。
「エリス、エリスはどこだ」
とーるは立ち上がりもう一度周囲を見渡すがやはり何も見つからなかった。
『ここは君のいた世界と死の世界の狭間』
突如とーるの頭の中に声が響いた。
「おまえは誰だ、姿を見せろ」
とーるは頭を押さえながら頭上を見上げた。
『すまないが私には実体はもう存在しない』
声から申し訳なさだけはうかがえた。
『私の時間は残り少ない。簡潔に話します。君達は全員一度死にました』
とーるはやはりと納得をしながらもショックを受けた。
『ですが、普通ならこの時点で君達は死の世界に行くことになるのですがそうはならなかった。その理由が君の存在だったようです』
とーるは首をかしげた。
『君の力を無効化する力が死の間際に発動したのです。その結果君を含めた7人はこの世界に来てしまったのです』
とーる本人は気付いていなかったが無意識上で彼の手から発動させていたのだ。
しかしたとえ無効化できるとしても部屋全体に広がっていた力をすべて無効化できるわけもなく中途半端に効果がでてしまいこの世界に飛ばされたようだ。
『結論からいいますと、まだ君たちは完全には死んでいません。ある条件を満たせば君たちは生き返ることができます』
とーるにとってまさかの展開であった。
「その条件ってのは何だ」
『今いた世界から離れ別の世界にいくことです。既に元の世界での君たちは死んだことになっています。それは世界のルールで決定づけられたこと。元の世界に戻ると同時に君たちは死を迎えます。しかし別の世界なら君たちにそのルールは適用されません』
今までいた世界を捨てる事に抵抗がないわけではないが一度死を覚悟しただけにこの条件はとーるにとって簡単に答えが出た。
「全然問題ないな。それで俺達がまた集まれるなら願ってもない条件だ」
『そうですか・・・では』
声は少しだけ間を置くと空間がさらに歪んだ。
とーるは様々なことを思い返した。家族を失ったこと、復讐の旅に出たこと、かけがえのない仲間達に出会ったこと、そして自分の中で大きな存在となった愛すべき人のこと。
とーるの意識がもう一度途切れる。

時を同じくしてナナリ、リオ、やよい、エリス、エツ、フリューベルはそれぞれ合流していた。
「記憶が混乱していて状況把握が追いついいけません」
エリスは難しい顔をしていた。
「あの声は一体なんだったのかそこが分かれば解決できそうなんだが」
ナナリも納得がいかないのか考え込んでいた。
「フリュお前なら気づいているだろ」
セツは突如フリューベルに投げかけた。
「あぁ、多分だが間違いないと思っている」
フリューベルは一度頷くと視線が集まっていることに気づいた。
「一体誰なの」
やよいはやや不安そうな顔で尋ねてきた。
「多分だが創造主だな」
フリューベルの言葉にセツを除く4人が絶句した。
「正確に言うとあの女ではなく、俺とあの女を創造しあの世界を作り出した本当の創造主だな」
セツの言葉に益々訳が分からなくなる4人はお互いをみて首をかしげた。
「そうだなどう説明すればいいかな・・・おっ!」
フリューベルが説明に困ったがある事に気づいた。
「セツ、3秒後に頭上から物体が降ってくるぞ」
「へ?」
フリューベルの突然の忠告にセツは反応できなかった。
「うわーーーーーおーーーーちーーーーーーーーーーーーるーーーーーーー」
ドップラー効果を演出しつつセツに向かって黒い影が降ってきた。
「だぁぁぁぁぁぁぁぁ」
セツは回避することができず悲鳴をあげた。
ゴーーーーン
鈍い音と共に黒い影とセツはそのまま叩きつけられる形になった。
「うへーくらくらするー」
黒い影の正体はとーるだった。
「とーる!!!!!」
その場にいたセツを除いた5人は驚きの声をあげた。
「おいっす」
とーるは気まずそうに手を挙げた。
「おいっす・・・・じゃねーーーーーーーーーどけやーーーーー」
セツは怒りの声をあげてとーるをなげとばした。
「ちょっおまっ!」
とーるは焦りながらも足から着地した。
これで7人全員がそろった。
「で、話を戻すな。そもそも俺達がいた世界はとある1人の女の子によって作られたんだ。その子は本当の世界では植物人間の状態であったんだ。その子は何もできないながらに一つだけ楽しみがあった。それが夢をみることだった」
フリューベルは思い返すように話はじめた。
「彼女の名は風見 理緒。理緒は夢の世界を作ると自分の友達となってくれる存在を作り出した。友達は全部で2人作られた。その者の名がセツ、そしてあの女レミであった」
フリューベルの言葉にセツはため息をついた
「今になって、あいつの名を思い出すんだから皮肉なもんだ」
セツの声は少しだけ悲しみが混じっていた。
「3人は終わることの楽しい時間を過ごすはずだった。・・・しかしある時事件が起きた。それは彼女の死という悲しい事実が突き付けられたのだ」
セツがフリューベルの肩をたたいた。後は自分が話すという意思表示だった
「死ねば夢をみることはできない。そうなると俺もレミも消滅する。本当ならそれで終わりだったんだ。だが理緒はそれを許さなかったんだ。そしてある事がおきた。ここから先はレミは知らない話になる。理緒は自分の分身を作り出した。それがリオ・・・君だ」
セツはリオを懐かしむような表情で見た。リオは戸惑いを隠せずフリューベルの腕に抱きついていた。
「とはいえリオ自身は理緒とそれ以外のつながりはない。記憶もなければ姿形も違う。理緒はただ俺達に自分の変わりを作りたかったのだと思う」
リオはフリューベルを不安そうに見上げた。それに気づいたフリューベルはリオの頭を撫でた。
「だがここで問題が起きた。レミが理緒の死を否定したんだ。そして夢の中に存在した理緒を自分の中へと取り込んだのだ。それからのレミは人が変ったように豹変した。世界の中に世界を作り出した。それが俺達がいた世界になる」
セツは悔しさをにじませていた。
「あの時俺がもっとしっかりしていればこんな事は起きなかったはずだ。そうすればお前たちにここまで苦しい思いをさせることもなかったんだ」
セツは拳を爪が食い込むほど握っていた。
「いいんじゃね?確かにその創造主の理緒だっけ?その子がどう思ってるかは知らないけど俺達は苦しい思いはしたかもしれないけど新たな家族を手に入れることができたんだ。感謝こそしても恨んだりはしてないさ」
とーるは周囲を一度見ると5人は静かにうなずいた。
『セツ、君は自分一人で抱え込みすぎです。私もあんなことがあったとはいえ後悔は全くしてませんよ』
どこからともなく先ほど聞いた声が聞こえてくる。
「理緒・・・全くあんたは昔から気を使ってくれる奴だったな。全然変わらないな」
『ふふ、人なんてそう簡単に変われませんよ。私も君も』
的確な突っ込みにセツは苦笑いをした。
「理緒さん、私達はどうすればいい。別の世界に行くにしても方法がわからなければどうしようもないんだが」
ナナリは率直な疑問を質問した。
『それは簡単です。君たちの後ろに扉があります。そこをくぐれば別の世界へと行くことができます』
ナナリ達が振り返るとそこには一つの扉が現れた。
『ただし、この扉をくぐるには1人だけ元の世界に戻って私の変わりに世界の行く末を見守って頂くことが条件になります』
新たな条件の提示は仲間達との決別であった。
誰もがこの条件に戸惑いを覚えた。しかし、意外にも答えは早く出た。
「だったら俺だな。まぁ嫁もまたしてるしこの条件はありがたい」
その条件に乗ったのはセツだった。
『そうですか、セツになら私も安心して後を任せられそうです』
理緒の声にセツは笑って答えた。
「フリュ、お別れだな。お前とは本当に長い付き合いになったな、色々と楽しかったぜ。それとエル達のことは俺に任せとけ。師匠もいるし大丈夫さ」
別れを告げているはずなのだがセツは以外にもさばさばとしていた。
「セツ、俺も楽しかったさ。それにセツがいなければ俺はここには存在していないんだ感謝してる」
フリューベルはセツに手を差し出すとセツも同じく手を差し出した。
「もう会うこともないが元気でやれよ」
セツは力いっぱいフリューベルの手を握った。
「あぁ」
フリューベルもそれに応えた。
セツは手を離すととーる達に近づいた。
「とーる、ナナリ、エリス、やよい、そしてリオ。幸せになれよ」
「セツさんもな」
「ありがとうな」
「お世話になりました」
「元気でやりなさいよね」
「セツも幸せになってね」
セツはそれぞれと握手をすると上を向いた。
「理緒、皆を行かせてやってくれ」
セツの言葉が終わると扉が開いた。扉の先は真っ白で先が見えなかった。
6人は扉の前で一度振り向いて手を挙げた。セツも手を挙げて応える。
「行こうやよい」
「行きましょう」
ナナリとやよいはお互いに見つめ合うと手を繋いで扉をくぐり姿を消していった。
「エリス、絶対に幸せになろうな」
「うん、幸せになろうね」
とーるとエリスも同じく手を繋いで扉をくぐり姿を消す。
そして残ったフリューベルはリオに何かをいうとリオは一瞬驚いた後、微笑んで見せた。
そしてフリューベルは何かを手にしていた。
「セツーーーーーーーーーーー受け取れーーーーーーーーーーーー」
フリューベルはセツに向かってそれを投げた。
パシッという音をたててセツの手の中へ入った。
セツの手に渡ったのは双頭の狼の刻印が記されたコインだった。それはフリューベルとセツにとって切っても切れるぬ過去の物だった。
「セツそれをあけてみなー」
フリューベルの言葉にセツはコインをみると側面にうっすらと断面があった。
そこを横にスライドするとロケットペンダントのように開いた。
そしてセツは息をのんだ。そこにはフリューベルとセツそしてエルの3人が笑っている写真が入っていた。
さらにもう片方には7人がそれぞれ笑顔で写っている写真が入っていた。
「俺達の絆はどこにいっても変わらんからなー。そしてセツは俺の最初の親友だってことを忘れるなよ」
フリューベルの叫びといってもいい声にセツは涙を流した。
「馬鹿野郎、言われなくてもわかってるさ。お前こそ俺の事忘れんじゃねーぞ」
セツの言葉にフリューベルも泣きそうになるが唇を噛んで耐えた。
「そんじゃいってくる」
「セツ、行ってきます」
フリューベルとリオは手を取り合うと扉の中へと飛び込んで行った。
「さようならだ、友よ」
セツは誰もいない扉にむかって別れの言葉を紡いだ。


Epiroge1 とーる・エリス
「であるからして、この問いの答えはこのように・・・・」
とーるは新たな世界でも大学生として勉学に励んでいた。
意外にもとーるは大学で優秀な成績を残しているが講義を受ける態度は微妙であった。
とーるはボーっと空を眺めていた。そうこうするとチャイムが鳴り講義の終了を告げた。
「さて、どうするかなー」
とーるはこれからの予定を考えながら廊下を歩いていると後ろから声が聞こえた。
「とーる先輩、これもらってくれまか」
とーるの前に現れたのはとーるが所属するサークルの後輩の子だった。
サークル内でも明るく元気がいいことで好意を寄せる者もいるくらい人気のある子だった。
とーるの前に差し出されたのはお弁当だった。どうやらとーるに食べてもらいたいようだ。
「いいのか?悪いが前にも断ったが俺にはもう彼女がいるからその好意には応えられないんだが」
とーるの言葉にその子は首を横に振った。
「いいんです。これは私の自己満足です。だから迷惑であったら言ってくださいやめますから」
とーるは頬を人差し指でかきながら困った顔をした。
「迷惑とは思ってないさ。ありがとうな」
とーる言葉にその子は笑みを浮かべ一度お辞儀をするとそのまま廊下を走って行った。
実はとーるは新たな世界の大学での人気は凄まじいものがあった。
頭脳明晰、スポーツ万能、明るい性格で面倒見がよいとどこの完璧超人ですかと言わんばかりの完璧っぷりを発揮していた。その為、多くの女性から行為を寄せられていた。
そうなると男性陣から嫉妬を買っているかというとそういうこともない。
持前の性格をいかんなく発揮し友達もかなりの数となっている。ゆえに悩み事はほとんどなかった。
ある一点を除けば。
「とーるさん」
とても聞き覚えのある声にとーるのビクッとはねた。普通に呼ばれたはずなのに凄い圧迫感を感じる。
とーるは恐る恐る振り返る。
「なんでしょうか、エリスさん」
とーるの背後に現れたのは恋人であるエリスであった。
エリスは笑顔でいたがとーるにはわかった。
(すっごい怒ってるよこれ。どうしよー)
とーるは心の中で終ったとつぶやいた。
「ちょっとだけお時間いいでしょうか」
「えーっとこれからお昼をですね」
エリスの言葉にとーるは後ずさりながら答える。
「ちょっとだけお時間いいでしょうか」
「えっとお昼の」
「ちょっとだけお時間いいでしょうか」
「えっと」
「お時間いいですね」
「はい」
とーるは遂に白旗をあげた。
エリスはとーるの手を取るとそのまま階段を上り屋上へとでた。屋上は広く少し先に人はいたがここなら話を聞かれることもなかった。
「あれほどいいましたよね。お弁当は私が作りますから絶対に他の人から受け取らないで下さいと」
エリスの手には重箱が包まれたお弁当があった。それを見てとーるはうっとうめいた。
「とはいえ、折角作ってきてくれたのを無下にも出来ないからつい」
とーるはどうしたらいいものかと悩みながらエリスをみた。
「そうですね、とーるさんは人がいいから断れないのは知っています。知っていますけどそれでも」
エリスは少しだけ泣きそうな顔でとーるを見つめた。
とーるはエリスには弱い。エリスがお願いと言えば絶対に断れないし断る気もない。
「わかった。わかったから泣かないでくれ。今度からは断るから」
とーるはエリスを抱きしめた。
「本当ですか」
「本当だから。エリスが作ってきてくれた一緒に弁当食べよう」
とーるの言葉にエリスは少しだけ笑みを浮かべて屋上に設置された椅子に座って重箱を広げた。
「相変わらず手が込んでいるなー。いつもありがとうな」
「好きでやってることですから」
エリスもとーると同じ大学に在籍している。新たな世界にきてからエリスは少しだけ変わった。
今までは自分を抑え他人を優先する感じだったが今は自分の感情をしっかりと伝えようとしてくる。
普段は大人しい感じでどこかのお嬢様を思わせる感じがあるがとーるの事が絡むと一転する。
先ほどの件も独占欲からくる嫉妬であった。本人も自覚しているがこればっかりはどうにもならないようだ。
だが学生たちの中でもエリスの人気はとーるの次にあった。男性陣の中では1番人気があると思われる。
「それにしても早いですね。あれからもう5年がたつのですか」
エリスは空を見上げた。空は快晴で雲一つ見当たらなほどすがすがしかった。
「そうだなー。あの時はこれからどうするべきか困ったよな。家は、衣服は、食料は、お金はって大慌てだったな」
当時の状況を思い返して苦笑いをしていた。
「まさか、あの家がそのままこちらの世界に来ていたのですから皆さんびっくりしてましたよね」
エリスは上品な笑いを浮かべる。
「あの後、学生生活に戻ったのは俺とエリスだけだったし。ナナリさんもベルさんもとんでも発言するしで右へ左への驚愕の連続だったな~」
「そうですねー、とはいっても皆一緒に暮らしてるから何も心配していませんけど。あの方たちの熱愛には未だになれないのですが」
エリスは少しだけ顔を赤く染めてい。何か恥ずかしいことを思い返していたようだ。
そして何か思いついたのか箸でカマボコをつまむととーるの前にさしだしてきた。
「えっと、あーーん」
エリスの突然の行動にとーるは固まってしまった。しかしエリスがまた泣きそうな顔をするととーるは慌ててカマボコにかぶりついた。
それを見たエリスは今まで以上に笑顔を浮かべた。とーるはそれがとても眩しく見えた。
「とーるさん、いつまでも一緒ですよね」
「ああいつまでも一緒だ」
二人は誰も見てないことを確認して顔を近づけ口づけをした。


Epiroge2 ナナリ・やよい
ナナリはキーボードをカタカタと打ちながら目の前のモニターに目を通していた。
「ナナリ室長こちらのデータ解析終わりました」
ナナリの前に白衣を着た男が書類を持って現れた。
「御苦労さま、後は俺がやっておくから今日はあがっていいぞ」
ナナリの言葉に男はお疲れ様でしたと答えて部屋を出て行った。
ナナリは今とある研究室の室長に身を置いていた。ナナリは医学方面や高次元力学で功績を残し歴史に名を残していた。
現在行っている研究は空間歪曲の定義について研究している。
きっかけはやよいの何ともない発言から始まっていた。
「そういえば他にも違う世界ってあるのかな」
この言葉にナナリは一つの疑問をもった。どうやって自分たちがこの世界に訪れたのか、その時は深く考えていなかったが、後になって気づいた。
あの女、レミが使っていた空間歪曲を応用すればできるのではないかとナナリは一つの仮説をたてた。
そして研究は少しずつではあるがその答えに近づきつつあった。
ナナリは一度椅子にもたれかかると疲れた目をこすった。
「お疲れナナリ」
タイミングよくナナリのまえに紅茶が差し出された。視線をむけるとそこにはやよいの姿があった。
「ありがとう」
ナナリは礼をいいながら紅茶を飲んだ。疲れが癒されていく感じがした。
「ナナリの研究はまぁまぁってところかしら」
やよいの疑問にナナリは頷いて見せた。
「順調とまではいかないが色々と新たな発見はあった。やよいの方はどうだかなりの成果が期待できると聞いたよ」
「まぁね、ナナリ程ではないけどあたしも博士号をもってるからね」
ナナリとやよいはそれぞれ博士号を取り、お互いに自分の研究をしている。時には二人で合同の研究を行う等している。
二人の評判は国家規模で有名であり、よく学会の講師を頼まれることもあるくらいだ。
「にしても早いわね、私たちがこっちの世界にきて5年もたつのね」
やよいは紅茶の水面をみながらつぶやいた。
「それもだが私達が結婚して1年がたってもいる」
ナナリはやよいの薬指に視線を向けるとそこには結婚指輪がはめられていた。
「あの時は驚いてしまったよ。まさかナナリがいきなり結婚しようって言いだすんだから。うれしかったけどね」
やよいは思い出しながら笑顔をむけた。
「セツがさ幸せになれって言ってたからね。私たちの幸せってなんだろうって思ったら最初に結婚ってのが浮かんでね」
ナナリは少しだけ恥ずかしそうにしていた。やよいもそれを見て少しだけ恥ずかしそうにした。
「さてっと今日はこんくらいにしてあがるかな」
ナナリは話をきりあげ立ち上がった。
「いいんじゃない。最近は家に帰ってなかったしそろそろ休暇も欲しわね」
やよいも帰り支度を始めていた。二人とも白衣をハンガーに掛けてそれぞれ上着を羽織った。
やよいは鞄を肩にかけるとナナリの腕に抱きついた。
「ナナリ、そろそろ私も欲しいなって思ってるんだけどどうかな」
小悪魔っぽい笑みを浮かべながら人差し指を立てて唇にあててみせた。
「・・・」
ナナリは言葉を探していた。やよいの突発的な行動はよくあったがこれは極め付けだった。
「あー、なんだ。考えとこう」
ぶっきらぼうなナナリにやよいは笑顔で答えた。
「とりあえず、デート行こうよ。デート」
「やよい、結婚してるのにデートってどうなんですか」
ナナリは冷静さを取り戻し突っ込みを入れた。
「いいのよ、こういったのは気分の問題よ」
「それもそうか。それではお姫様デートにお誘いしましょう」
「エスコートよろしくねあたしの大切なナ・ナ・リ♪」
2人はとても楽しそうに研究室を後にした。

Epiroge 3 フリューベル・リオ
「兄さーーーん」
リオは丘を駆け上がっていた。丘の先にはフリューベルが楽しそうにリオを見ていた。
「はぁっはぁっ、先にいくなんてひどいよー」
リオは頬をふくらませて怒っているように見せるが、顔が笑っていたため全く怖くはなかった。
フリューベルはくすっと笑うとリオの頭を撫でた。リオはそれをくすぐったそうな顔で撫でられていた。
「それで兄さんが連れてきたかったのはここなのですか」
リオの疑問にフリューベルは空を見上げた。
「あぁ、ここは似ているんだ。俺とセツそしてエルの3人が出会った場所と似てる」
フリューベルは懐かしんでいた。もう2度と戻ることのできない時間を思い返した。
「兄さん、私はあの人達の変わりにはなれません。でも私は絶対に兄さんを一人にしたりしないわ」
リオの瞳から強い意志が伝わってきた。
フリューベルはリオを抱きしめた。
「ありがとうな」
「うん、それにね私達は強い絆で結ばれているんだから」
リオはそういうとフリューベルから一歩離れた。ほぼ入れ違いで小さな影がフリューベルに向かって飛び込んできた。
「どーーーーーーーーーーーーん」
赤色の髪に澄んだ蒼い目をした子供がフリューベルに飛びついてきたのだ。
「パパーー肩車してー」
そう子供はフリューベルとリオの間に生まれた子であった。
実は最後の戦いの時には既にリオの中にその子はいた。
後になって知った2人は驚きつつもそれを喜んだ。
フリューベルは肩車をすると子供は歓喜の声をあげていた。
「ああああ、お兄ちゃんずるい私も私もーーーー」
更にもう一つの声が聞こえた。
「僕が最初だもん。早い者勝ちだよ」
「ずるいずるい」
2人の子が言い合いを始めた。
「こらこらアキラもレナも仲良くしないと肩車してやらないぞ」
フリューベルに窘められる。アキラは少しだけ黙った。
「パパ、もういいよ。レナにもしてあげてよ」
アキラは下ろされるとリオの手をとった。聞き分けのいいアキラにリオは優しく尋ねた。
「あら、いいの?」
「うんだって、僕は兄だからね」
少しだけ誇らしげにアキラは言う。
「偉いわ。それだったらママと手をつなぎましょう」
リオが手をさし出すとアキラは笑顔見せて手を繋いだ。
レナはフリューベルに肩車をされて喜んでいた。
「リオ、これからもっともっと幸せになろうな」
「ええ、こらからずっと一緒にそして幸せになりましょうね」
丘に一陣の風が吹いた。それは4人を祝福する風のようにも感じた。
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