FC2ブログ

REQUIEM館

第5話:激戦

ビットとあきらはアカデミーの地下にある牢獄に閉じ込められていた。
「そろそろ話してくれる気になったかね」
牢越しにこの学園でも最も地位にある学長が2人を見下ろすように立っていた。
「・・・・」
ビット達は全く話す気もなく無駄に3時間過ぎていた。
事の発端は前日フェイヨン西部に現れた多数のモンスターから始まった。
ビットとあきらは二人ともアカデミーの門をぬけるとすぐさま現場へと向かった。
そこで2人が目にしたのは多数のモンスターと真っ向から渡り合う十数人の人がいた。
年齢性別多分であるが所属職はバラバラであった。
「古の神よ、悪しき者をから私達をお守り下さい」
<アスムプティオ>
一人の神官服を纏った女性が天へ祈りを捧げると同時に淡い光が彼女達を覆った。
「神よ、我らに祝福を与えたまえ」
<ブレス>、<速度増加>
祈りを捧げる女性の横を駆け抜けるように神官服の男性が腕を振りぬくとメンバーの動きが更によくなった。
「いまだ一気におしきるんだ」
神官服の男性が叫ぶと同時に2足歩行の鳥であるペコペコに乗った騎士風の男性がモンスターの群れに向かって突進していった。
「うぉぉぉぉぉぉぉ」
槍を振り回しながら突撃しそのまま雄叫びと共に槍を振りぬいた。
<ブランディッシュスピア>
振り下ろすと同時に強烈な衝撃波を生みだし手前にいたモンスター達を全て吹き飛ばした。
<スパイラルピアース>
吹き飛ばされたモンスターの先に向かって強烈な回転を加えた槍を振り下ろした。
槍はモンスターの体を貫き即死に追い込んだ。
「皆さんどいて、纏めて殲滅します」
<魔法力増幅>
「大気よ凍てつけ、命すら凍りつけてしまいなさい」
<ストームガスト>
大気が振動したかと思うと気温が一気に落ち込む。
そして強烈な嵐が巻き起こりモンスター達が次々に凍り付いていく。
最も前線にいたモンスターにいたってはその強烈な嵐によって凍りつくと同時に砕け散っていた。
「はいはーい、氷のオブジェなんて必要ないんだから壊しちゃうよー」
能天気な声と共に薬瓶が中をまった。
<アシッドデモンストレーション>
ガガガと削岩機で岩を削るような音と共に氷のオブジェが甲高い音共に崩れ落ちていく。
「どうよー、この威力♪」
眼鏡を掛けた女性がカートを引きながら意気揚々と大魔法を唱えていた女性に近づいてきた。
「馬鹿うしろ!!」
「へっ?」
焦り声とに眼鏡を掛けた女性が振り向いた。振り向いた直ぐそこには凶暴そうな青い熊が勢いよく飛びついてきた。
「あわわわわわ」
眼鏡を掛けた女性は咄嗟のことに反応できず硬直してしまった。明らかに致命的であった。
よくて大怪我、普通に考えたら死んでもおかしくなかった。
「世話を焼かすな」
<ソウルブレイカー>
強烈な真空波が青い熊を襲ったかと思うと体が真っ二つになっていた。
「さっさと退け、ここの残りは俺がやる」
いつのまにか眼鏡の女性の横に2本の短剣を携えた男性が立っていた。
眼鏡の女性はこくこくと頷くと勢いよく立ち上がり後方に走っていった。
2刀の男性は大魔法使いの女性に視線を向けると一度頷いた。
女性の方も同じように頷くと2人は同時に前へと走っていった。
モンスターの群れは始めこそ勢いがあったが徐々にその勢いも衰え今ではその数も10と勝敗は明らかに決していた。
しかし、その中で1体だけ強烈な殺気を放つモンスターがいた。そのモンスターの名はダークイロード、
人間の住む世界を何れ征服しようと目論むモンスターの1体でもあった。
「しぶといさっさと倒れやがれ」
ペコペコに乗った男性を先頭にダークイロードに総攻撃をしているがそれでもダークロードが倒れる感じはしなかった。
ダークロードは攻撃を受けながらも魔法を唱えてきた。
「やばい、流星招来がくるぞ」
神官服の男性の言葉にそれぞれが回避行動をとる。
それぞれが最小の被害で押さえようと動き回る。強大な流星が地に激突し衝撃波が彼らを襲う。
普通に考えれば流星なぞが直撃すれば即死であるが彼等は鍛え抜かれた戦闘のエキスパートであった。
ゆえにこの程度で倒れるようなことはなかった。
「主よ傷つき私達に癒しの光を」
<サンクチュリア>
神官服の女性を中心に足元に聖域が作り出され傷ついた体を癒し始める。
それぞれが聖域に集まり傷を癒しながら次の一手を考える。
「あの取り巻きさえどうにかできれば俺が一瞬で決めれるんだが」
筋肉質の男性が苦虫を噛み潰すようにダークロードをにらみつける。
ダークロードの周囲にはその手下であるダークイリュージョンがいる。
ダークイリュージョンの存在が邪魔でありこいつさえどうにかできれば勝利を手繰り寄せる事ができるのは事実であった。その決定的瞬間がいまだに訪れずジリ貧になっていたのだ。
しかしその瞬間は唐突にやってきた。
<アローシャワー>
複数本の矢が全てのダークイリュージョンに突き刺さった。ダークイリュージョン達の視線が矢を放ったであろう方へと向いた。
「こいよ、相手してやる」
そこには弓を構えた少年がいた。
「リン!!」
神官服の男性が驚きの声をあげる。その場にいた者は少年が現れたことに言葉を失った。
ダークイリュージョンは怒りの声をあげて少年に向かって突進していった。少年は全力で矢を放ちながら反対へ走っていった。
そしてこれはダークロードとダークイリュージョンの距離を離す絶好のチャンスになった。
「リンまってろ今すぐ終わらせたる」
筋肉質の男性が右足を力いっぱい踏み込む。
<爆裂波動>
地が揺れるほどの轟音とともに大気が震える。
ダークロードの足下に一瞬で詰め寄る。ダークロードですら認知できたか分からない、否わかったところでどうすることも出来なかったであろう。
「吹き飛ばしたる」
<阿修羅鳳凰拳>
音が消えた、あまりの音の大きさに聴覚が麻痺したのだ。
全身全霊の一撃はダークロードの体を粉々にして吹き飛ばした。
ダークロードの消滅と共にダークイリュージョンも存在を維持できなくなり消滅していった。
そしてその場に残されたのは1人の少年が力なく地に倒れていた。
「リン!しっかり・・・おい!!」
神官服の男性が少年を抱き起こし声をかける。しかし返事はかえってこない。
必死に少年に治療魔法のヒールをかけるが傷は一向に塞がらない。
「ちくしょう、起きろ起きてくれよ」
皆が少年を必死で呼ぶ。ただ、目覚めて欲しい。それだけを願い叫ぶ。
追いついてきた神官服の女性も同じくヒールを唱える。大して効果が無いがそれでもと必死で続ける。
ほんの少しだけ傷が塞がったように見えた。
皆がその変化を見逃さなかった。
「皆、リンを呼べ。意識がこっちにあれば何とかなるかもしれない」
神官服の男性は額にびっしりと汗を浮かべながらも治癒を続ける。
先の戦いで既に限界は通り越していた。だがそれでも治癒を続ける彼らにとってこの少年がそれほど大切な存在なのがうかがえた。
傷は少しずつではあるが癒えていった。
・・・
「んっ!」
少年の口から少しだけ声が聞こえた。その声に全ての視線が少年の顔に集まった。
「あれ、ここは・・・」
少年は少しずつ瞼をあけて辺りを見渡した。
「リン!!」
周囲からは驚きと歓喜の声があがった。
「無茶しやがって、寿命が5年は縮んだぞ」
筋肉質の男性が少年を抱え上げながら喜びを爆発させた。
「・・・戦いは?」
少年は周囲を見渡しながら尋ねた。
「全て終わったわ。帰りましょう私達の主の下へ」
神官服の女性が少年の頭を一度撫で詠唱を始めた。
直ぐに女性の足元にワープポータルが出現し皆飛び込んでいった。
最後に神官服の女性がワープポータルに入るとワープポータルは姿を消した。
こうして歴史的惨事になりかねない事件は終わりを迎えた。
しかしこの事について何があったのかは後に2人の目撃者を除いて他に知る者はいなかった。
その2人がビットとあきらであった。だが彼等はこの事について一言も口にする事は無かった。
学園側は2人がその現場にいたか確証はなかった。ゆえに処罰はアカデミーで古木の枝を使用した事による1日牢獄で反省だけであった。
しかし彼等はこの事件を目の当たりにした事で大きく成長をする事になる。
彼等の進む道にはきっと少年が現れるだろう。敵か味方かそれはまだわからない。
スポンサーサイト
小説 | コメント:0 | トラックバック:0 |
| HOME |