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REQUIEM館

第9話:予選開始

部屋の中に日差しが差し込む。
「ん、朝か」
あきらはベッドから降りると服を着始める。
「ついにきたか」
あきらは窓を開け放ち身をのりだした。
外からは空砲の音が鳴り響いていた。
これから2日間に渡ってアカデミー主催の大会が開かれる。
毎年100以上ののチームが参加する事で有名な大会だ。
アカデミーからはあきら、ビット、リアが他の候補を寄せ付けない圧倒的実力で枠を勝ち取った。
この大会に参加するだけでも名誉な話で、過去の参加メンバーはプロンテラ騎士団や各街の防衛隊長などで今も活躍する者が多くいる。他にも自分の工房や店を持っているものもいる。
アカデミー卒業後の将来が約束されているよなものであるのだ。ゆえに毎年、枠争いは熾烈を極めている。
しかし今年だけは例外であった。アカデミー最速で単位を修得しているあきら、アカデミー唯一の槍使いの剣士で実力はあきらと同じではないかと言われるビット、そして王家の血をひき強大な魔力を保有するマジシャンであるリア。3人の圧倒的実力の前に候補者は前年度の半分以下であったようだ。
結果誰もが予想できあたであろう3人が大会に参加する事になった。
アカデミー内ではもしかしたら優勝してしまうのではないかとまで言われている。
「よし」
あきらは身支度を整え装備の確認を終えると部屋のドアを開けた。


「はぁぁぁぁ」
槍を振りまわしながら右へ左へとステップを踏み素早い動きで動き回る。
「炎よ火球となりて敵を撃て」
<ファイアーボーール>
ビットに向かって火球が投げつけられる。
ビットは冷静に槍を地面に叩きつけ土を巻き上げる。石つぶてが火球とぶつかり速度が落ちたところを余裕を持って回避する。
「これでどうだ!」
ビットは槍を思いっきり振り上げると全体重をのせて振り下ろした。
<バッシュ>
「ふふ」
<セフティーウォール>
槍がリアに当たる直前、魔力で作られた障壁がリアを覆う。
障壁は槍と拮抗しバッシュの威力を霧散させた。
ビットとリアはお互いの力をある程度確かめると、それぞれ自分の鞄からタオルを取り出し汗を拭いた。
「悪くないわね、私の騎士になるのだからこれくらいはやれてもらわないとね」
リアは満足気な表情をしていた。
「誰がお前の騎士になるって言った。毎度毎度勝手な事いうな」
ビットは溜息をつきながら返す。
既にこのやり取りも定番となっており、ビットも適当にあしらっている。
「ふふっ、逃がさないわよ。っと、リーダーもきましたね」
リアの視線の先にビットも視線を向けると上空からあきらが降ってきた。
「準備はできいるな。いくぞ」
「おう!」
「はいっ!」
あきらの言葉にビットとリアが強く頷き会場に向かって歩き始めた。
会場に入ると既にエントリーを済ませたパーティー達が各々の場所で準備運動を始めていた。
あきら達も受付に向かった。
「アカデミー代表のあきらだ。メンバーはビット、リアだ」
あきらの声に受付員は名簿に目を通す。
「はい、あきらさん、ビットさん、リアさんの3名確かに確認しました。貴方達は予選第3試合からとなります。予選の試合形式をお伝えします。予選は各試合10チームの中から上位1チームが決勝リーグへ進めます。そして予選では試合形式は各チームリーダにこちらを身に着けていただきます」
受付員はあきらに紋章のようなバッチを渡した。
「こちらを奪い合っていただきます。こちらを奪われた時点で試合からは離脱して頂きます。最終的に制限時間内に全ての相手を倒すか、多くのバッチを保有していたチームが勝者となります。なにかご質問はありますか?」
受付員の説明を受けあきらは首を横に振った。
「いやわかった。質問は別の事である」
「はあ、何でしょうか?」
受付員の頭にハテナが浮かんでいるように見えた。
「参加者にリンとい名の者はいるか?」
「申し訳ございません、生憎他のチームメンバーの情報はお伝えできません」
あきらは知っていたがあえて聞いてみた。それは受付員の反応である程度予想しようとしたのだ。

『それでわ、予選第1グループの試合を始めます』
声の聞こえた方を振り返るとそこに複数のスクリーンが現れた。
スクリーンからは予選の会場を複数の箇所から写していた。
あきらはスクリーン見回したがそこにはリンの姿は映っていなかった。
『それでは予選第1試合・・・始め!』
合図と共にスクリーンの先で爆発や武器のぶつかり合う音が聞こえた。
開始10分はどこも拮抗した戦いが繰り広げられていたが少しずつ力の差が見え始めていた。
爆発に巻き込まれその場に倒れる者が出始めた。
あきらはスクリーンから視線を外しビットに何か話しかけようとした時
「いた!!右下から2番目のスクリーンだ」
あきらはすぐさまスクリーンに向くいた。
「うわああああああああああああああ」
大絶叫と共に大勢の人に追い掛け回され逃げ惑う姿がそこに写されていた。
どこからどうみてもあきらの知っているリンであった。だが
「・・・あれがリンか?」
疑いたくなるのもそのはず、あきらの知っているリンは冷静で自分を圧倒したほどの実力者だ。
それがあんな滑稽な姿を晒しながら逃げ惑っているのだ同一人物だとは信じがたい。
だが現実は現実だ。
「あっ!」
リアが声をあげた。
スクリーンに映るリンが地に足を引っ掛けてしまい転げてしまったのだ。
万事休す。さすがに大人数を相手にあの体制からは突破は無理だろう。
「おかしい・・・何かある」
あきらが呟いた瞬間、リンの背後を追いかけていた人達が吹き飛んだり、氷付けにさせられた。
「へっ?」
ビットが素っ頓狂な声を上げた。それもそうだ何が起きたのか理解が出来なかったのだから。
むしろスクリーンを見ていた人の大半はそうであった。
『よいしょ』
リンは起き上がりながら矢を弓に番う。そして撃ちだした。
しかし矢は真っ直ぐとばす氷付けにされた者の手前の地面に突き刺さった。
と同時に
ドッカーーーン
氷付けにされた者達の真下で額発が巻き起こった。
どうやら地面に矢が突き刺さると同時にそこにあった罠を氷付けにさせられた者達の真下に押し出したようだ。
しかも作動させるというおまけつきだ。
事前に伝えられていたが予選の会場では罠が仕込まれているという情報は聞かされていた。
どうやらそれが発動したようだ。
リンは完全に気絶してしまった者達のバッチを取り外し持っていた鞄に放り込んだ。
『そこまで』
ほぼ同時に終了の合図が流れた。リンはそのままスクリーンから消えていった。
『現在、集計中です。・・・結果がでました、予選第1試合はこちらの方達です』
スクリーンに映し出されたのはリンと、マントを羽織って容姿が分からない者が2人立っていた。
結果を知った者達からなんだよラッキー勝ちかよといった嘲笑の声があがった。
大半の者達は結果からリン達を笑いそして見下しスクリーンから視線を外した。
だが一部の者達はどうやらそう考えていなかったようだ。
「・・・わざとだな。あまりにも出来すぎている」
「ああ、偶然がそう何度も続くわけがない」
あきらも同じ意見だった。特にあきらはリンの事を少しではあるが知っている。
「あきら、あいつの最後に少しだけ笑っていたぞ」
ビットも直感ではあるが、先のリンが普通ではないこと感じていたようだ。
リアもどうやら同じようでビットの言葉に頷いていた。
「面白くなってきたじゃないか、俺達も負けてられないぞ」
あきらは不敵な笑みを浮かべビットとリアを見る。
「だな」
「そうね」
二人もあきらと同じように笑みを浮かべていた。
どうやら全員、怖気づいていないようだった。
『予選第2試合、始め!』
予選第2試合の合図が流れた。
試合は着々と3人が出場する第3試合に迫っていた。
「んじゃ、控え室いきますか」
ビットとリアは控え室に向かって歩き始めた。
(あん時の借りを返す時がきたんだ。こんなところで躓いてられるか)
あきらは力強く前をみると歩き始めた。
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