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REQUIEM館

第2話「平穏」

「応答せよブレイズ1」
「こちらブレイズ1、戦域を無事離脱。そのまま帰還する」
「了解。次の指示があるまでゆっくり休みたまえ。ああそれとお前達のリーダーにもよろしくと伝えてくれ」
「了解」

「だとさ、フリュよろしくってさ」
片手運転しながらも無線を切ったナナリの口調がいつもと違った。
「だから俺がリーダーとか誰が決めた。そもそもナンバーが1のナナリがリーダーと考えないか?」
フリューベルは疲れた声で答える。ナナリの口調がちがうのはフリューベルを弄っているからであってフリューベルもそれが分かっていた。
「フリュさんそれは無理だよ。今までが今までだから諦めなって」
とーるが笑いながら答える。他の者達も同意のようでうなずいていた。
フリューベルも諦めているのか何もいわず外を眺めることにしたようだ。
それから数時間ほど走らせる、とある一軒家の前で車が止まった。
「着きましたよ、早速お出迎えのようですね」
ナナリが車を止めドアを開けると同時に家の扉が開いた。
「パパーーー」
一人の子供がナナリに飛びついた。
「っと、ただいま。いい子にしていたかい」
ナナリが子供を抱き上げた。
「うん、皆良い子にしていたよ」
子供は笑顔で答えるのをみてナナリも笑みを浮かべた。
「全く、相変わらず元気の塊ねあきらは」
やよいが呆れつつもあきらの頭を撫でる。
「お母さんお帰りーーーー」
「お帰りなのーーー」
とーるとエリスの元に二人の少女が寄ってきた。
「おう、今帰ったぞー」
とーるとエリスは二人の少女を抱き上げた。
「リコ、レンただいま」

フリューベルとリオは車から荷物を降ろそうとしたが気配を察知し瞬時に飛び下がる。
2つの影が同時に2人を追いかけるように飛び掛ってくる。
フリューベルとリオは無手で迎撃にかかる。
リオは着地と同時に影に向かって突進し影と激突する。
フリューベルは逆に身動きをとらず構える。
リオの突進によって影の動きは一瞬鈍くなる。しかしそれでも応戦する。
リオとほぼ同じ速さで連打を繰り出す。しかしながら戦い慣れしてるリオは僅かな隙を見つけ影の後ろに回りこみナイフを突きつけた。
「後もうちょっとね」
リオはくすりと笑った。
フリューベルは影の動きに対し冷静だった。
影は射程圏内に入ると手にしていた得物を突き出してきた。
これをフリューベルは得物の側面を叩いて軌道を逸らす。力はほとんど必要ない、ほんの少しだけ力を入れただけだった。
それで勝負はついていた。結果として大きな隙ができた影はその後のフリューベルの踏み込みに成す術もなく吹き飛ばされた。
「迷いの無い踏み込みはよかった。後は相手の動きに、リン」
フリューベルは影の方に歩み寄り手をのばす。
「ちぇっ今日こそは一撃入れてやれると思ったのになー」
フリューベルの手をとり立ち上がった。見た目は先の4人よりも少し年上の少年のようだ。
「それとエル、挑むなら得物を使え。相手が無手だからといってあわせるな」
「はい!」
リオが手を離すと少女がフリューベルのもとに走りよって元気よく答える。
リンとエルは笑顔で二人を迎えた。
「おかえり父さん、母さん」
「おかえなさい父様、母様」
「ああ、ただいま」
「ええ、ただいま」

つかの間の平穏が訪れる。だがこれは、これから始まるであろう激闘の前の僅かな休息であった。
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第1話:物語は再び始まる

「世界が変わろうと、闇というものは存在してしまうのだから皮肉なものだ」
紅髪の男はライフル越しに呟く。
彼の名はフリューベル。幾つもの戦場を駆け抜けてきた戦の申し子の一人でもある。
『私達がこの世界に流れ着いたのも意味があるのかもしれませんね』
無線越しに男の声が聞こえる。
彼の名はナナリ、メンバーの中でも一番の頭脳派である。極限状態におかれても最善・最適な行動がとれる切れ者である。
『ベルさんも、ナナリさんも深く考えすぎじゃね?』
2人とは別に楽観的な声が聞こえる。
彼の名はとーる、メンバーの中では一番勘が鋭く幾度の危機を乗り越えてきた。
以前は死神と恐れられてもいた。
「とーるの言うとおりだな、リオ達も動き始めてるはずだ。手筈通りいくぞ」
『『了解』』


「お疲れさま」
笑顔で紅髪の男を出迎えたのは、身長が140cmくらいの小柄の女性だった。
彼女の名はリオ、女性メンバーの中では一番の古株である。
「ナナリ、へまして他に迷惑かけてないわよね」
リオよりも少しだけ背が高く、つり目の女性がナナリに近づき挑発的な視線を向ける。
彼女の名はやよい、女性メンバーの中では最後に加わっており、その前はナナリ達と壮絶な死闘を繰り広げてきた過去を持つ。現在でも女性人の中では最も好戦的でもある。
「とーるさん、怪我とかはしてないですよね」
とーるの傍に2人よりも背が高く、綺麗な女性が近づいてきた。
彼女の名はエリス。やよい同様に当初はとーる達と対立していた過去を持つ。
女性メンバーの中では一番年上であり、考え方も大人びてるところがある。
リオとやよいにとっても姉的存在に位置している。

「正直、テロ組織というのは潰しても次が現れるからきっついわー」
とーるは苦笑いをしつつもエリスからタオルを受け取った。
「ナナリ、これで幾つ目だ」
フリュ―ベルがライフルを磨きながらナナリを見る。
ナナリはPCを起動し手早くキーボードをたたき始める。
「これで8つ目ですね」
「一体どれだけあるのよ」
ナナリの返答にやよいが溜息をつく。
「現時点で把握してる拠点は全て潰した訳だが倍以上よ覚悟した方がいいか」
フリューベルの言葉に残りの5人は黙っていたが考えは同じだった。
「とりあえず、引き上げた方がいいわ」
リオは荷物を車に乗せ車に乗り込む。
「確かに、ナナリだしてくれ」
「皆振り落とされないように気をつけてくださいね」
全員が乗ったのを確認してフリューベルが合図を出しナナリはアクセル全開で踏み込む。
車の前身が浮かびあがりながら急発進する。
フリューベルが天井の窓を開けて身を乗り出しつつ背後に向かってスナイパーライフルを構える。
とーるとやよいがドアの窓からハンドガンを突き出す。
リオとエリスはPCを起動し物凄い勢いでキーボードをたたき始める。
「追手の反応検出。兄さん南西1300m上空です」
リオの声にフリューベルは即座に南西方向に照準を合わせる。上空は雲で何も見えなかった。
しかしわずかに雲から光が漏れたのをフリューベルは見逃さなかった。
そして、弾丸は放たれた。弾丸は雲の中に吸い込まれていった。
ドーーーーーーーーン
雲に覆われていても分かるくらい爆発の閃光が見えた。
「とーるさん、やよいさん300m先の地中に熱源・・・地雷です。とーるさん側に4つ、やよいさん側に3つです」
とーるとやよいは地面を睨み付けながら地雷の場所を探る。
そして無言で連射。地雷は車が通過する前にすべて爆散した。
「追手は?」
ナナリが器用にハンドルをきり整備されていない道を全速力でかけぬける。
「追手はなし、・・・無線で別働隊が動き始めました。これでテロリストの拠点は完全に崩壊するわ」
リオの無線機に制圧の報せが入るのとほぼ同時にナナリ達は戦線を離脱した。
「・・・嫌な雲行きだな」
フリューベルは去り際に空を見上げながら呟いた。
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