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REQUIEM館

第10話:思惑

「リア右いったぞ!」
あきらの声に反応し巨大な火球が空中に突如現れ急降下する。
「吹き飛びなさい!!」
リアは杖を真横に振ると同時に火球は地に着弾し爆散した。
タイミングを見計らってビットがまだ煙がたちこめる爆心地に突撃する。
「もらっていくぜ」
ビットの手には大会で使用されているバッチが握られていた。
予選第3試合が始まってから20分経過していた。あきら達は順調に2組目のチームを撃破していた。
実はアカデミーからの推薦チームが過去予選突破をした事は一度しかない。
その為、会場で観戦しているアカデミーの生徒達は異様な盛り上がりを見せていた。
あきら達は間違いなく現在バッチの保有数で上位争いの一角に入っていた。

「今ので合計6個だな」
あきらは地図を広げて現在地を確認する。
「確か、今ここで大半は中央を目指すと考えると」
ビットが地図の端を指しながら中央へのルートをなぞる。
「それだと乱戦に巻き込まれるわね」
リアは地図のルートを確認し中央への道で合流場所が固まっている事を指摘した。
現状、チームの数が減れば自ずと残されたチームは中央へと集まってくる。
理由は簡単であった。中央は市街地となっており、最初に選挙したチームが有利になる。
その為、どのチームも数が減り始めた今中央を目指すのだ、結果合流地点では乱戦になりやすい。
大半はこの乱戦である程度結果が決まる。乱戦に参加しない結果的にバッチの奪い合いに参加しない為、後々無理にでもトップチームとのぶつかり合いになる。
そうなると、市街地を占拠している側が断然有利になる。
あきら達はどうあってもこの乱戦に参加するしか選択肢がないのだ。
「・・・ん?ここはもしかして」
ふと、あきらは地図をみてて気づいた。
合流地点よりやや離れた場所ががけになっているのだ。
「リア、お前の魔法の射程でここから撃つことはできるか?」
あきらの問いにリアは崖の高さから射程の計算にを始めた。
「問題ないわ」
リアの返答にあきらは頷く。
「ビットは、リアの護衛をしてくれ。多分だが2,3発撃ち込めば反撃がくるだろうからそいつからの守りだ」
ビットはあぁっと頷いた。
「俺は第1射と同時に敵陣に切り込む一撃目で倒れた奴らのバッチを奪う。第2射は第1射の5秒後だ」
3人はお互いの手筈を確認した後、中央に向かって移動を開始した。

移動を始めて20分程で目的の崖にたどり着いた。崖の下では予想したとおり既に乱戦が始まっていた。
既にいくつかのチームが崩壊し残るは自分達を除いて6人つまり2チームだけであった。
「手筈どおりいくぞ」
あきらの合図でリアは詠唱を始める。
「穿て雷(イカズチ)よ、我らの前に立ちはだかりし敵を葬れ」
頭上に雷雲が呼び出される。崖下にいた者達も異変に気づき回避行動を起こそうとするが既に遅かった。
<サンダーストーム>
マジシャンが扱う魔法の中で最も広範囲で高度な風属性魔法が発動する。
無数の落雷が崖下にむかって降り注ぐ。爆音と共に砂塵が舞う。
あきらはすかさず崖を疾走する。ほぼ90度にちかい崖を起用に走り砂塵の中に飛び込んだ。
「!やっぱ楽はさせてくれないか」
リアの第3射が放たれると同時に背後から気配が感じた。
ビットはすかさずリアを庇うように飛び出す。その先には先ほどまで崖下にいた騎士の男とウィザードの女がいた。
「奇襲とは、やってくれる」
騎士の男はこれでもかというくらいにビット達をにらみつけた。
「悪いな、こんな場所で止まっておくわけにはいかないんだ・・・よーーーー」
ビットは騎士に向かって疾走する。やや遅れて騎士の男も動き始める。
ウィザードはこちらに聞こえないように詠唱を始めていた。
高位の魔導師は魔法の内容を悟られないように色々と工夫をしている。
例えば、このウィザードのように声をある程度抑えるといった事はよくあることだ。
他にも、上位になれば詠唱時間の短縮、極限の領域でいえば無詠唱にいたるものもいる。
「そうやすやすと大魔法は撃たせないわ」
『大気中に存在する水よ氷柱となりて敵を穿て』
<コールドボルト>
ウィザードの頭上に氷柱が現れ勢いよく降り注ぐ。
ウィザードの詠唱は強制的に解除され、かなりのダメージを与えただろう。
基本の魔法でもあるコールドボルトだが高い魔力を持つリアの場合、威力は普通のマジシャンの比ではない。
「悪いけどこんな場所で足踏みできないわ。このまま舞台から降りてもらうわよ」
リアの容赦なく言い放つとトドメの魔法の詠唱を始める。

「でぇぇぇい」
ビットは槍を振り回し騎士の持つ大剣を弾きながら前進する。
基本的に槍と剣の勝負では槍に軍配があがる。しかし槍を使う騎士が少ない事には理由がある。
扱いの難しさ及び剣に比べて重量がある為相応の腕力が求められる。
しかし、扱いきれるなら確実に槍側が有利になる。
「っく、重い一撃・・・だが」
騎士の男は剣を横に振りぬく。
<ボーリングバッシュ>
ビットを弾き飛ばしつつリアを巻き込む狙いがあった。
しかし
「みえみえなんだよ」
<バッシュ>
ビットは騎士の振りぬきをかわして背後へとまわりこんでいた。
騎士の男は背後からの一撃になす術もなく意識を刈り取られた。
「よし、これでこっちは片付いたな。あきらの援護に・・・」
ビットが振り向きながらリアに言うがリアはビットの横を指差していた。
「もう終わった」
指されたほうに視線をむけるとほぼ無傷なあきらがバッジをたんまりと持って佇んでいた。
『そこまで』
『予選第3試合の勝者はこちらの方です』
突如ビット達の頭上から光が挿し込んだ。
「どうやら俺達が勝者のようだ」
あきらは冷静に状況を把握し2人に伝える。2人とも納得し手にしていた武器を納めた。
ほぼ同時に自分達が立っていた空間が歪んだ。そして、次の瞬間には控え室に3人とも戻っていた。
どうやら部屋自体が空間転移の力をもっているようで大会主催側の判断で試合会場との行き来ができるようになっているようだ。
「なんだかんだ余裕をもって予選突破できたわね」
リアは髪をかきわけつつ控え室の椅子に座る。
「だが、午後の本戦は今回のようにはいかないだろうな」
あきらの言葉にリアもそうねと答える。
あきらとリアは話をしていて違和感を覚えた。
2人は部屋を見渡す。そこにはいないといけないはずの存在がいなかった。
「ビットはどこいったの?」
リアの疑問と同時にあきらは部屋を飛び出した。


「あれ?ここは?」
あきら達が控え室に戻った時を同じくしてビットは見覚えのない場所にいた。
多分、会場のどこかではあるのだが全く見覚えがなかった。
辺りを見渡すとそこには一人の青年がいた。
「こうやって正面きって話をするのは初めてかな」
青年は少しだけ表情を崩した。
ビットはその青年を知っていた。
「お前、リン!」
ビットは驚きを隠せなかった。まさかいきなり今まで探してきた人物が目の前に現れるのは予想外だった。
「そうだ、リアとあきらは」
ビットは辺りを見渡すが2人の姿はどこにもなかった。
「2人は既に控え室に戻っている。ここには君と僕しかいな。ああ、危害を加えるつもりもないよ。実はお願いがあって君をここに呼んだんだ」
ビットはリンの表情を伺う。ビットにとってリンを見るのはこれで3回目、1回目はフェイヨンから少し離れた場所で強大なモンスター達に果敢に挑んでいった姿、2回目はつい先程予選で逃げ回っている姿、そして3回目は今だ。どれもリンであるが本当の姿はどれにあたるのか?もしかしたら今のリンも偽っているのかもしれないと疑っているのだ。
「そう怖い顔をしないでくれ話しにくい」
リンはまいったなーと呟きながら困った顔をした。
「とりあえず話を聞こう」
ビットもこのままだと話が進まないと判断したようだ。
「話は簡単だ、今日の午後の本戦。僕達と手を組まないか」
「どういうことだ」
リンの言葉にすぐさまビットは聞き返した。
「正確にいうとどうしても、明日決勝に僕達は出ないといけないんだ。その為には午後から行われる本戦で最低でも2位以内に入る必要がある」
そう、午後から行われる本戦は予選と違い上位2チームが明日の決勝に出場できる。
「1位通過はそちらに譲る。今の君達だと本戦を勝ち抜くのは厳しいだろうからこの提案はありだと思うんだがどうだろう」
リンの提案にビットは考え込む。何故リンは今このような話を持ちかけてきたのか?普通に考えればアカデミー生よりも現役で活動している冒険者の中で話ができそうな相手を選んだ方がいいだろう。
「俺一人だけでは答えは出せない。他の2人と一度話して決めたい」
ビットは慎重に考えた末、答えを保留した。これについてはリンも予想していたのだろう表情に変化はなかった。
「ああ、答えは本戦始まってからでいいよ。君達が僕達の敵として動かなければこちらは君達のフォローもしよう。いい答えを待っているよ」
リンはそういうと天井を見上げた。ほぼ同時にビットの足元に魔方陣が現れビットは控え室に飛ばされた。
「ビット!!どこいってたんだ」
いつもは冷静なあきらが慌てて部屋に飛び込んできた。
遅れてリアも部屋に飛び込んできた。
「何処行ってたのよ。本気で心配したんだからね」
少しだけ怒り気味なリアにビットはどう弁解しようか悩む。
「それで、実際何かあったんだな」
あきらの言葉にビットは頷いた。
「実は・・・」


会場の屋根裏に転移したリンは空を見上げた。この行為は特に意味があるものではなく彼の癖みたいなものである。
「あれで良かったのですか?」
突如リンの横にフードを被った仲間の声が聞こえた。
「ああ、あれで問題ない。味方になろうが、なるまいがあまり関係ない」
「リンさんがそう仰るのであれば私は信じて動くだけです」
仲間の堅苦しい言葉にリンは少しだけ苦笑いを浮かべた。
「次からは僕だけでは厳しいだろうから君にも頑張ってもらわないとね」
「はい、任せてください」

会場から歓声があがった。残りの予選組みも終わり遂に本戦メンバーが出尽くした。
アカデミー代表は大会初の予選通過を果たし本戦へ、そしてあきら達が警戒するリンと未だ素性不明の2人。
更に決勝戦出場に拘るリンの目的は・・・
激化する本戦でそれぞれの思いが交差しぶつかり合おうとする。
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この記事のコメント

ふむ・・・
機動力のあきら
バランスのビットというわけですな|ω・)

・・・モデルとなった本家大元は、ネタアサシンですけどね|ω・)

いつ更新されるのかと、接続=確認していたのは内緒なんだからねっ!?
2011-12-13 Tue 20:30 | URL | 狐 #-[ 編集]
狐さん久々の更新にもかかわらず、コメント頂きありがとうございます。
こちらの都合で今後も更新速度は遅いと思いますがよければ見てやってください。
最後の一文には笑ってしまいましたww
2011-12-14 Wed 11:47 | URL | フリューベル #khVSl.z2[ 編集]
大分遅れて確認したわwww


ななとん可愛いな(笑)

すまんね、最近忙しかったわ


とりあえず一つ
先月までは毎日見てたんだからねっ
2011-12-18 Sun 03:12 | URL | とーるん #SFo5/nok[ 編集]

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