FC2ブログ

REQUIEM館

第2話:アカデミーの日常

ビットは渡された服を着てみた。
本音をいうとあんまり似合っていなかった。
作業服に胸当てを着けた気分であった。
ビットの最初の職はノービスというらしい。
ちなみにノービスは誰しもが絶対に経験する最初の職でありその先から各種職へと転職していく。
「やべ、のんびりしてると遅刻してしまう」
ビットは急いで荷物をまとめると急いで部屋を飛び出した。
向かう先は前日も訪れた受付であった。
受付の前に行くと受付嬢のアリアと話している男性がいた。
「あ、きたきた。ビット君紹介するね今回君の担任になるブラウン先生です」
「よろしく」
ブラウンと紹介された男が笑みを浮かべて手を差し出してきた。
「よろしくお願いします」
ビットはブラウン先生の手を握り返した。
見た目は白髪の短髪に180cm程度の背丈、更に整った顔立ちをしている。性格も悪くはなさそうだ。
「ノービスの君には基本知識と初歩の戦闘訓練をしてもらうから心して挑んでほしい」
ブラウンの言葉にビットは頷いた。
ビットは訓練と聞いて舐めていた。

1週間後
「腕の振りが甘い、それでは一生転職できないぞ」
ブラウン先生の怒鳴り声が響き渡った。
訓練が始まったのは6時間前、そこからぶっ続けで訓練を続けていた。
校内マラソンから始まり、腕立て伏せ、100m走、瞑想、そして現在素振りをやらされていた。
「し、しぬ・・・」
ビットの顔は誰が見ても分かるぐらい限界にきていた。
しかし、ビットはそれでも倒れずにひたすら素振りを続ける。最初のころは2時間も訓練してたらへばっていたのだからかなり成長である。
だがビットはよく頑張っていた。付近をみれば既に脱落者の山が出来上がっていた。
ビットを除けば1人だけ今も素振りを続けているものがいた。
「そこまで、最後までついてこれたのはあきらとビットか」
ビット以外に最後まで耐え抜いた者の名はあきら。
クラスの中でも人一倍大人しかった記憶がある。
確か彼の希望職はシーフだったはずだ。
シーフ、盗賊とも呼ばれている職。基本足が速く小回りが利く職であるがその反面打たれ弱いところがある。
「お前たち二人は明日、転職試験を受けてこい」
大体であるがノービスから転職までは平均半月から1ヶ月程度と言われている。
そういう意味ではビットはかなりの早さで試験を受けることになる。
「それでは今日の訓練はここまで、解散」
ブラウン先生の言葉に脱落した者たちもふらつきながらも立ち上がり礼をしそれぞれの部屋に戻っていく。
ビットはそれを後ろから眺めながら某ゾンビゲームを思い出した。
そうこうしていると、訓練の後片付けを終えたあきらがビットの前を通り過ぎた。
「あ、ちょっと」
ビットがあきらに声をかけようとしたが何と言えばいいのか分からずに戸惑った。
「俺のことはあきらでいい。それで何か用か」
あきらは仏頂面でビットを見ていた。
「えーと、あきらさん。明日はお互いに頑張りましょう」
「ああ」
ビットの言葉に素気ない返事をしてあきらは去って行った。
ビットはちょっとばかし苦笑いを浮かべて部屋に戻って行った。


夜が明けビットとあきらはそれぞれ教官室に連れて行かれた。
「それで今回の試験の前にそれぞれの希望職を聞いておきましょう」
ブラウン先生が机越しに訪ねてきた。
「俺はシーフを希望しています」
あきらは間髪いれずに答える。
「えーと、希望がない場合ってどうすればいいですか」
ビットの迷いがこもった声が答える。
ブラウン先生がふむっと言った感じで考え込む。
「そうですねー、ビット君は見たところ近接戦でのポテンシャルがかなりのものですから剣士になってはどうでしょう」
ブラウン先生の指摘通りビットの近接戦での評価はかなり高い。
この世界では、6つのパラメータで個人の評価がされている。
STR・・・ストレングス。筋力。
AGI・・・アジリティ。俊敏性。
INT・・・インテリジェンス。知識。
VIT・・・バイタリティ。体力。
DEX・・・デックス。器用さ。
LUK・・・ラッキー。運
と分類されるがこの中でSTRとVITが飛びぬけて高く評価されているようだ。
ビットは少し考え込んで決心がついたようだ。
「わかりました。剣士を希望します」
「それではこれにサインを、2人はそれぞれ試験場所まで転送されるからそこで話をきいてくれ」
いい終わると二人の足元が光り始めた。転送ゲートが開いた時におきる現象である。
二人はそのまま教官室から姿を消した。
ブラウン先生はコーヒーを飲むと窓から空を見上げた。
(嫌な雲行きだな)

ビットは意識が覚醒すると目の前に大きな建物が見えた。
ビットは一度、深呼吸すると扉をあけた。
扉の先には一人のガタイのよい男が椅子にすわりじっとしていた。
「あのー剣士の転職試験を受けに来ました」
ビットはおずおずと男に近づくと男は一枚の紙を突き出してきた。
「名前を書け。書いたら向こうの部屋にいる男に話しをしろ」
と簡潔に言うと紙だけを押しつけて椅子に座りなおした。
(んー剣士ってみんなこうなのか?)
ビットは自分が剣士の道を選んだことに少しだけ後悔を覚えた。
紙に名前を書き込み机の上に置いて言われたとおりの部屋に進むとそこには門番っぽい格好の男が待っていた。
「君が今日の受験者か」
「はい、よろしくお願いします」
門番の男がビットに尋ねるとビットは丁寧に返事をした。
「試験はいたって簡単だ。このゲートを潜って最奥まで到達できれば合格だ。万が一落とし穴に落ちてもどこかに階段があるから焦らないようにしてください。それではご武運を」
門番の男の声を尻目にビットはゲートへ勢いよく飛び込んだ。
・・・
・・・・・・・
・・・・・・・・・・
「で、これは一体どういうことだーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
ビットはブレイドで襲いかかってきたモンスターを斬り倒す。
『ポリーーーーーン』
断末魔にしてはいまいち緊張感のない声が室内をこだまする。
『グルルルルルルルル』
どこからともなく狂暴そうな声が聞こえた。
「げーーーーー」
ビットは一目散に逃げ出した。狂暴そうな声はビットの気配が遠くなるのを感じたのかビットを追いかけてきた。
「だーーーーーーーー、何であんなとこにキメラがいるんだよー」
キメラ・・・見た目はライオンっぽい姿に背中から蛇が生えているモンスター。
ビットが到底かなう相手ではなく先ほどから逃げ回っていた。
「なんでこんなことになったんだ」
ビットは逃げながら先ほど起きたことを考えた。
簡潔に説明するとビットの先に橋があった。橋の上を歩くと橋が折れた。
折れた橋から多数のモンスターとキメラが現れた。
以上
想定すると橋の素材が古木の枝というアイテムで作られた橋だと思われる。
古木の枝・・・折るとランダムにモンスターを召還するはた迷惑な枝である。
「だがある程度召喚されたモンスター達も倒したし今なら突破できる」
ビットは少しだけ自信ありげに振り向いた。ところで言葉を失った。
『ぐぉぉぉぉぉぉぉぉぉ』
キメラが雄たけびをあげると目の前に弓をもった浮遊モンスターのガーゴイルが現れた。それも5体もだ。
「ちょーーーーーーーーーーーーーー」
ビットは叫びながら全力で走る。
「いで、いだだだだだだ」
背後からガーゴイルが矢をこれでもかというくらい撃ってきた。さすがに距離があるので大半はよけていたが何本かビットに命中していた。
そのうちの一本がビットのお尻に突き刺さったようでビットはお尻を押さえつつ逃げる速度を更にあげた。
かなり間抜けな格好であった。
『がぁぁぁぁぁ』
キメラの右手が振り下ろされてビットの真横の床が吹き飛んだ。
「ちょ!」
ビットは吹き飛ばされた反動で空中で一回転しそのまま地面を転がった。
「いててて、なんつー馬鹿力だ・・・ってあれ」
ビットは痛みを堪えながら顔をあげて気づいた。そこには上へ向う階段があった。どうやら逃げ回ってるうちにたどりついてしまったようだ。
ズンズンという音が後ろから近づいてくる。
「やば」
ビットは気合で立ち上がると急いで階段をのぼりはじめた。
「この幅ならあいつはこれないは・・・・」
ズガガガガガ
キメラが強引に側面の壁を削りながら登ってくる姿を見せてビットは絶句した。
「なんつー強引なんだ」
ビットは半分呆れていた。それほどにもキメラの行動はむちゃくちゃだった。
しかしキメラの猛追は意外な展開で幕を閉じる。
ミシミシ
階段にヒビが入りそのまま階段が崩れ落ちた。
どうやらキメラの体重に耐えきれなかったようだ。
「えーと助かったのか」
ビットはその光景を見届けると腰を抜かしたように床に膝をつけた。
「本気で死ぬかと思った」
ビットは穴があいた階段を見下ろした。そしてある事に気づいた。
「これもう一回おちたらどうなるんだ」
ビットの中で色々とシミュレートして顔が青くなった。
「と、とりあえず注意していけば大丈夫。・・・・タブン」
その後はビットの取り越し苦労でもあるかのように淡々と先へ進むことができた。
『おめでとうございます。本日の試験No001ビットさんは合格となりましたここを出ましたら入口の受付の者と話をしてください』
機械的な声が室内に響くと目の前に最初と同じゲートが開いた。
ビットはゲートに入ると最初に入った部屋に戻されていた。
「うむ、合格したようだな。今日から君も立派な剣士だ。剣士として恥じぬよう日々鍛練を積んでくれ」
ガタイのよい男がニッと笑みをみせた。
「はい、ありがとうございました」
ビットは一例をすると蝶の羽を取り出し上空へと投げた。
蝶の羽が空中で光の粒子にかわるとビットを包みこまれると姿を消した。

ガタイのよい男がビットが消えたのを見ると天井を見上げた
「それにしてもあの試験を突破するとはなー」
「そうですね、ブラウンさんからの頼みであの試験を選びましたが。あれここ数年突破した人いなかったですよね」
門番の男が考え込むようにして言うとガタイのよい男はフッとわらった。
「ビットっていったな。あやつの今後が楽しみだな」
スポンサーサイト

小説 | コメント:2 | トラックバック:0 |
<<第3話:新たな一歩 | HOME | 新章:ようこそアカデミーへ>>

この記事のコメント

ちょww

どっかで見た名前があるのですがww
2010-04-01 Thu 22:19 | URL | 狐 #-[ 編集]
狐さんよく気づかれましたね。
今後の展開に注目ですよ!
2010-04-08 Thu 06:27 | URL | フリューベル・シルフィーゼ #-[ 編集]

コメントの投稿















コメント非公開の場合はチェック

この記事のトラックバック

| HOME |