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REQUIEM館

第13話:終幕そして新たなる物語へ

戦況は互角であった。
数で圧倒する魔物の群に対して個々の戦力で圧倒しているリン達の激突は凄まじいの一言だった。
転生者としての力を解放されたリンはスナイパー、アルはチェイサー、サクラはパラディンとしての力を全力でふるう。3人はお互いの攻撃範囲を理解し互いに連携しながら魔物を蹴散らしていく。だがそれでも親玉であるダークイリュージョンは次々と魔物を召還し数押し切ろうとする。
一進一退の攻防が続く。
「次から次へと」
アルは舌打ちをしながらも目の前に迫ってきた魔物レイスを一刀の下に切り伏せる。そのまま次の敵に視線を向けた時、敵の頭上から火球が勢いよく叩きつけられた。
「苦戦してるわね、助けは必要?」
声の主はリアだった。これだけの魔物を前に怖気づくどころか前線にまで出てきたのだ。
「いらない」
アルは素っ気無い声で拒否を告げた。この行動にリアは言葉を詰まらせた。
まさか即答で返されるとは思っていなかった。しかもそれが拒絶であるのだ。
「あーそうですかー、3人の中で一番冷静な人だと思ったけどただの残念さんでしたかー」
ピシッ
なにかがひび割れるような音がした。
「誰が残念さんだって」
「聞き返す時点で理解してるよね。それとも頭悪いの?」
お互いに睨み合い威圧しあう。しかし魔物達にとって止める必要も無くリアも敵と認識したのか二人に襲い掛かってきた。
「邪魔を」
「するなーーー」
アルとリアは矛先を再度魔物達に向け怒りという力も上乗せしたたきつけた。
魔物達にとってみれば理不尽このうえないであろう。
「あーあー、派手にやっちまってるなー」
ビットは苦笑いをしながらサクラの方へ向かった。
「あらビットさんどうしました」
サクラはビットが近づいてくるのを気配で察知し、魔物達を切り伏せながら話しかけてきた。
「ここはお互いに共闘したほうが利があるだろ」
ビットは槍を構え笑って見せた。魔物の群れをみても尚戦う意思があるのは大したものだとサクラは思った。
「分かりました、お願いしますね」
サクラの返事に応じるようにビットは魔物の群れに向かって走りこんだ。

「っ!ハッ」
リンは指の間に矢を挟みこむようにし、高速で弦に番え放ち続ける。一度に最大4連続で射撃を行うことで一射一射のタイムロスを潰していく。
魔物に近づかれながらも冷静に距離を保つ為にたえず移動する。
リンが矢を番え放とうとした時に射線上に人が現れた。
「セイッ」
その者は容赦なく手にした短剣を振りぬき魔物を一刀両断した。
(ハイディング・・・あきらか)
リンは瞬時にその者があきらである事を理解し照準を奥にいる魔物に合わせる。
状況が変わったことによりリンは即座に矢を挟み込む持ち方から通常時の持ち方に切り替え目一杯矢を引き絞る。
弦からギリギリっと音がした次の瞬間矢は放たれた。
〈シャープシューティング〉
放たれた矢はあまりの速さに、標的の魔物に直撃すると同時に周囲へ衝撃波を巻き起こした。
直撃した魔物は絶命し周囲にいた魔物達もかなりの被害をうけ後退しようとした。
しかし、そこに問答無用といわんばかりに全力でかけこんできたあきらが魔物達を蹂躙していく。
あきらが突撃したのを確認してリンは矢を番えながら前進した。
「サクラ、アルさん今が好機だ」
「はい!!」
「その言葉待ってたよ」
サクラとアルは返事をするとお互いに最大火力の魔法とスキルを叩き込む。
<シールドチェーン>
<サプライズアタック>
「ビット!リア!」
同じくあきらの声にビットとリアが追撃を掛ける。
「まかせろーーー」
<マグナムブレイク>
「オッケー」
<サンダーストーム>
6人は知らず知らずの内に噛み合った連携をとり魔物が増える速度以上の速度で撃退していく。
「ほー、これほどか」
6人の実力目の当たりにして黒騎士の男はつぶやく。
そしておもむろに男は腰に下げた大剣を引き抜いた。
「だがここであやつを葬らねば計画に支障がでる」
男はそのまま大剣を真横に振りぬいた。
剣の先から衝撃波が生まれリンを襲う。
「!!」
魔物と対峙していたリンにとって完全な不意打ちだった。
「リンさん!」
<ディボーション>
サクラの焦り声と共にリンとの間に光の線が現れる。
「っ」
リンに直撃した衝撃波はリンではなくサクラを傷つけた。
サクラの腕や足から血が噴出した。
「サクラーーー、こんのやろー」
アルが周囲の魔物蹴散らしサクラの元に向かって走ろうとする。
しかし
「周りをみえなくなるとは未熟な」
いきなり目の前に男が現れる。
「しまっ」
男の大剣を短剣で受け止めるが、受け止めきれずそのまま後方に吹き飛ばされ地面に叩きつけられる。
「がはっ」
アルは苦痛に顔をゆがめて立ち上がれない。
<ウィンドウォーク>
風の力を纏いリンが男の前に立ちはだかる。
「フィー」
リンの呼び声にシルフィーゼがリンを襲おうとする魔物達に向かって空から突進する。
全力で弓を引き絞り男に向かって矢を放つ。
「ぬう」
男は剣で矢を受け止めるがかなり威力があるのか後ろに吹き飛ばされ後退する。
「さすがだな、だがお前がここにいていいのか」
男の言葉は今の現状を的確に示していた。
サクラが倒れ、アルも戦えるとはいえかなりのダメージを受けている。
残る3人も善戦してるとはいえ、数の多さに少しずつ押され始めている。
だがリンがここで男を食い止めない事には反撃すらできなくなってしまう。
リンは無言で男に矢を放つ、男の方も無言でこれを打ち落としつつリンに接近しようとする。
しかしリンの素早い動きがそれを許さない。ゆえに膠着した状態が続く。


「だぁぁぁ」
ビットがサクラを庇うように立ち魔物を切り伏せる。
サクラがいることで成り立っていた連携が失われても、ビットは孤軍奮闘していた。
「こんな・・・」
ビットは血まみれになりながらも魔物の群れに向かって一歩踏み込む。
「こんなとこで・・・」
ビットは槍を振り回しながらもさらにまた一歩踏み込む。
「死んでたまるかーーーー」

「ちっ」
あきらは器用に魔物達の振りかざす攻撃を避けながら切り伏せていく。
「くっ」
突如あきらの体がぶらつく。時折避け切れずダメージが蓄積したっているのが厳しくなってきたのだ。
だがあきらは気合だけで耐え、目の前の魔物に向かって走る。
「まだまだーーーーーー」

「邪魔ー」
魔物群れを高速詠唱で生み出した火球で焼き払う。
火系の魔法は不死の魔物達に相性が良い為近づかれる前に焼き払うことができているがそれでも数に押され移動しながらの戦いを強いられている。
リアとしてはビットへの加勢をしたいのだがそれができずもどかしかった。
「もっと、もっと力があれば」
リアは両手を合わせるようにし火球を作り出す。
(もっと、もっと力が欲しい)
突如リアの手から火球が消えた。
「え!!」
この事態にリアは動揺してしまった。
(もしかして詠唱に失敗した!)
目の前には魔物が迫っていた。慌てて再度火球を作り出そうとするが間に合わない。
「くっ」
リアは目の前にせまる魔物の攻撃に恐怖を覚え目を瞑る。
しかしくるであろう衝撃がこない。かわりに
ズドーン
大きな音が聞こえた。恐る恐る目を開くと目の前に強大な隕石が降り注いでいた。
「これは・・・」
目の前の光景に呆然とする。
降り注ぐ隕石に魔物達はなす術もなく蹴散らされていく。
メテオストーム・・・マジシャンであるリアの上位に存在するウィザードが使用できる魔法である。

「ぎりぎり間に合いましたね」
リアが振り向くと先ほどまで誰もいなかった場所から声が聞こえた。
「あなたは?」
「そんなことより今はあちらをどうにかすることが先ですね」
姿が消えたと思うとアルの前に現れる。
「アルさんにしては油断しましたね」
「すまねぇ、小雨助かったわ」
小雨のヒールによって持ち直したアルが立ち上がる。
「リンの援護にいってくる」
アルはそのままリンの元へと駆け出す。
「サクラの元にはあの人がいってますね」
小雨は両手を頭上に掲げ上空を見上げた。
小雨を覆うように光の柱が上空へと伸びていくと、続いてビット、あきら、リンを覆うように光の柱が降り注いだ。
「これは」
突如の出来事にビットは動きを止めた。
『少しの間だけ力を貸してあげましょう』
空から声が聞こえると同時に今までにない力が3人の中からあふれ出してきた。
「これは」
あきらは自分の両手をまじまじと見る。
そこには先ほどまで握っていた短剣ではなくカタールが握られていた。
そのカタールは爆炎のカタールといわれ武器自体に火属性の効果が付随し斬る物全てを焼き尽くすといわれている。
迫り来る魔物に一振りすると驚くくらい簡単に消滅させることができた。
「そういうことか・・・なら」
あきらは状況を理解し今果たすべき事に全力を注ぐ。
迫り来る魔物の群れに突撃し問答無用で斬りかかる。
<ソニックブロー>
カタールから繰り出される高速の8連撃に成す術もなく魔物は蹴散らされていく。

同じくしてリアも理解する。
先ほど発生したメテオストームは偶然にも自分が放ったものであると。
そして今まで以上に充実した魔力、間違いなく彼女は今ウィザードの力を行使できるのだ。
(それなら)
リアはとある魔法を行使する為に詠唱を始める。
自然と頭の中に浮かぶ言葉を紡いだ詠唱は熟練のウィザード顔負けの速度で詠唱が完成する。
<ストームガスト>
強烈な吹雪がリアの正面に発生し、迫り来る魔物達を引き裂く。
あまりにも強烈な吹雪は目の前にいた魔物達全てをズタズタに引き裂いた結果周辺の地形まで変形させていた。

「体が軽い」
ビットは戦場を一気に駆けるける。
魔物はビットを追いかけるように転進する。しかしビットはそれすらも無視し魔物の群れの中央に飛び込む。
ビットを囲む魔物の数はおよそ50。
ビットは中央まで潜りこむと今まで来た方に振り向く。そして
<ボウリングバッシュ>
目の前にきていた魔物を持っている槍を全力でたたきつけた。
魔物は吹き飛ばされ後続を巻き込む。ビットは後続を巻き込んだ事を確認し更に止めといわんばかりに跳躍した。
「はぁぁぁ」
<ブランディッシュスピア>
振りぬかれた槍は衝撃波を巻き起こし魔物を飲み込む。
追いかけてきた全ての魔物を巻き込み強烈な爆発を起こした。
「次ーーー!!」

3人の活躍によって押されかけていた均衡がみてえされた。
「さて、これで形勢逆転だ」
アルは黒騎士を見て宣告する。
「確かに、これ以上は厳いだろうな」
黒騎士は焦る様子はなかった。リンは黒騎士の態度に違和感を感じた。
(こいつの狙いは結局何なんだ)
黒騎士の目的がただの襲撃だけだったのだろうか?
疑問はあるがそれでも今目の前の黒騎士を追い詰めたのも確かだ。
「今回はこの辺で退場するとしよう」
「そんなことが許されると」
黒騎士の言葉にアルが即座に反応し飛び込む。
しかしアルの短剣は黒騎士にあたることなく空を斬る。
「ちっ」
アルは舌打ちをして少しはなれた場所を見る。
「不用意だな」
黒騎士の言葉にリンは気づいた。
(しまった!!!)
リンは手にしていた弓を投げ捨てて一目散に走り出した。
「シルフィーゼ、あいつらを守れー」
リンの声にシルフィーゼが飛び立つ。
「サクラ!ビットを頼む」
ほぼ同時にあきら、ビット、リアの3人の足元に魔方陣が浮かび上がる。
「なっ!これは」
ビットは魔方陣から離れようとするが魔方陣はビットの足元から離れようとしなかった。
「くっ」
魔方陣自体の効果が分からない現状、捕まるわけにはいかない。
ビットの中で焦りが募る。
「ビットさん飛んでください」
突如声が聞こえた。足元に気が向いていたビットからしてみれば不意であった。
しかしビットは素直にその言葉に従い飛び上がる。
「やぁぁぁぁぁ」
やや遅れてビットの足元にある魔方陣に剣が突き刺さる。
魔方陣は剣を突き刺された場所を中心から薄れていきやがて消滅した。
「ビット大丈夫か!!」
ビットの元にあきらが駆け寄る。
「ああ、間一髪サクラさんが助けてくれた。そっちは?」
「こっちは奴の鷹に助けられた」
あきらの頭上を旋回している鷹を見上げた。
「・・・リアはどうした?」
「おいおいおい」
ビットとあきらは顔見合わせた。
「くっ!このままだと間に合わない」
リアの足元の魔方陣が完成しかけているのが見えた。
今から魔方陣を解除するのはほぼ無理だろう。
「手を出せ」
リンは叫ぶ。リアは振り向きながら手を伸ばす。
リンはリアの手を握ると勢いよく引いた。
リアを魔方陣から引きずりだすとリンはリアを抱えながら地面を転がった。
ほぼ同時に魔方陣が完成し地面から火柱が巻き起こった。
あの火柱に巻き込まれれば助かりはしなかっただろう。
もしそうなっていたらと考えるとリアはぞっとした。
「リアーー大丈夫か」
ビットの声にリアは我に返り立ち上がりながら振り向いた。
「ええ、私は大丈夫。この人が助けてくれたか・・・」
リアはリンを見下ろして何かに気づき驚きの表情をしていた。
今のリンは、いつも被っている帽子がなかった。火柱に巻き込まれてしまったのだろう。
そしてその素顔にリアは目を見開いた。
「にい・・・さ・・・ま?」
「え!!」
リアの言葉にビットは理解が追いつかなかった。
「ちがう。俺はお前の兄ではない」
リンは冷たく言い放つと立ち上がった。
「リンさん大丈夫ですか?」
「ああ、ギリギリだったが何とかなった」
駆け寄ってきたサクラにリンは振り返って答えた。
「やつは?」
「すまん、取り逃がした」
アルが申し訳なさそうな顔で歩いてくる。
「あらかじめ仕掛けていたんだろう。やられたな」
「多分そうでしょうね」
声がしたほうを見ると小雨ともう一人神官服の男性が現れた。
「それより、魔物達はどうなりました?」
サクラが周囲を見回すがダークロードはおろか魔物の気配が消えいてた。
「ああ、あれかとりあえず片付けといた」
さらっと答えた内容に小雨を除いた6人はあっけに取られた。
リン、アル、サクラの3人はまたかといった顔をしていた。
あきら、ビット、リアの3人は軽々しく言い放たれた言葉を理解することに時間を要した。
「それでこれからどうするの?」
小雨は6人を見た。ようは残った2チームで試合再開をするのかと聞いているのだ。
「いや、流石にこれ以上は厳しい。こちらはリタイアだな」
同時にリンは地面に仰向けになって倒れた。
「俺も同じく限界だ。これ以上は勘弁願いたい」
あきらもどうやら限界だったらしくリンの横に座り込む。
「ここは引いた方がいいだろう」
アルは周りを一度見渡してから小雨に向かって話しかける。
小雨もその言葉に概ね同意のようで無言で頷いた。
小雨は手をかざし小さく呟くと光の柱浮かび上がった。
「では私たちはここを去りましょう。優勝はお譲りします。あくまで私たちはあの者を追いかけてきただけで目的は達成できませんでした。これ以上ここにいる理由はありません」
サクラが光の柱に入り姿を消す。
「まぁ色々と面倒だろうが後始末は頼むわ」
アルは振り向きざまに、にやっと笑った。あきら達がその笑いの意味に気がつくのはもう少し後の話だった。
リンは起き上がると何も言わず光の柱に入ろうとする。
「まて!」
あきらは起き上がりリンを呼び止める。その言葉にリンは足を止める。
「今は無理だが。絶対においついてやるからな」
あきらの言葉にビットとリアもリンへと視線を向ける。
リンはフッと笑うと手を上げながら光の柱へと入っていった。最後に後から来た小雨達が光の柱に入ると柱は消えていった。

・・・

大会から1ヶ月がたった。決勝は結局正体不明の何者かが参加者を襲ったという事だけが分かりそれ以外の事は一切情報が開示されなかった。
また、混乱の状態の中アカデミーからの参加者であるビット達が何者かを追い払った事は公になっていた。
その結果、アカデミー初の優勝者として扱われることになった。
しかしビット達はそのことについてはあまり納得していなかった。
それは、参加者の名簿で1つのチームだけ名前が分からなくなっている者がいた。リンを筆頭とした3人はあの大会のメンバーに参加はおろか存在すらしていない事になっていた。
その3人がいなかったら全滅していたのは間違いないだろう。ゆえにビット達はいつか彼らに追いつこうと鍛錬に励むのだった。

そして・・・

「それじゃ今日も一日気合をいれていくかー」
ビットは力強く槍を握りしめた。
「結局あなたは卒業しても相変わらずよね」
リアは半分呆れた感じでビットの横につく。
「はやくあいつらに追いつきたいからな。一日たりとも無駄にしたくないんだよ」
「そうね」
ビットの返事にリアも頷いた。
そう今日彼らはアカデミーを卒業する。大会で優勝したことで実力も実績も十分と判断されての特例だった。
ビットとあきらが入学してから約半年だった。
この速さは過去の事例と比較しても最短の卒業者と同レベルとなる。これだけの優秀なアカデミー生に各ギルドや宮廷からのスカウトもあったが彼らは全て断った。
リアも城に戻ってくるように使者が来たがそれを無理矢理断りビットに同行する事を選んだ。
2人がアカデミーの転移門の前までくるとそこにはあきらがいた。
「行くぞ」
あきらの言葉に2人は頷くとほぼ同時に転移門が起動した。
3人が転移門に踏み込むと光の柱が3人を包み込んだ。

彼らの冒険はこれから始まる。
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第12話:更なる戦いへ

「ばっかやろー」
誰かの声が聞こえる。誰だろう・・・ああ、そうだこの声は確か・・・



「皆準備はできてるな」
リンは控え室の椅子から立つと、アルとサクラの二人に振り向いた。
二人が小さく頷くのを見たリンの顔からは普段以上に感情が消えていた。
二人はリンにあえて声をかけず試合が始まるのを待っていた。
『時間になりました決勝戦に出場される方は控え室より順次転送を開始します』

転送のアナウンスが流れ決勝会場にビット達3人が転送が終わった直後、少し離れた場所で爆炎が舞い上がった。
「な!なんだー」
いきなりの出来事にビットは驚きの声を上げた。
「もう戦闘が始まってるというの早すぎる」
リアは瞬時に周囲を警戒する。気配は感じないところを見ると戦闘が始まっているのは一箇所のみ。
「いくぞ」
あきらが走り出しビットとリアも送れて走り始めた。
爆発以外にも落雷や吹雪がまっているのも見えた。

「リン、流石に戦力差が倍だと下手に出れないよ。どうする」
物陰に隠れていたアルの冷静な声にまだ余裕があるのが伺える。
「・・・サクラ」
「ええ、任せて」
サクラは剣を抜くと物陰から飛び出した。リンも同時にサクラの後を追うように飛び出す。
「もう、この子達はいつも無茶するんだから」
アルはぼやきながら二人に続き飛び出した。
敵は6人、どうやら決勝の4チームのうちリンとビット以外のチームはぐるのようだ。
更に性質が悪いのが6人のうち2人がウィザードであった。交互に魔法を連発することでこちらの隙をあたえないようにしているのだ。さらにバードのスキルにブラギの歌で詠唱時間の短縮を図るという徹底振りだ。
残り3人は騎士、クルセイダー、プリーストと完全に防御特化でウィザードを護衛する形で展開している。

ウィザードの詠唱が遠くからでも聞こえきた。
「これは・・・ストームガストよ」
アルは即座に詠唱内容から大魔法であることを察知した。
リンは即座に弓に矢を番え中央にいたクルセイダーに向かって放った。
クルセイダーは避けられないと悟ると盾を前方に構えて耐えようとした。
「ぬっ」
クルセイダーは矢が盾に当たると僅かだが後方に吹き飛ばされた。
アーチャーのスキルチャージアローだ。前衛にいた騎士、クルセイダーとプリーストの間に僅かだが隙間ができた。
サクラはその僅かな隙間に無理矢理体を捻じ込んだ。
そして
<マグナムブレイク!!>
地面が爆発し強烈な爆風が3人を覆う。
「うあああ」
騎士の呻き声があがる。他の2人も声には出さなかったがそれなりにダメージを与えたようで苦悶の表情を浮かべていた。
同時にサクラも自分の放った力の余波で傷だらけになっていた。
「リンくるよ、耐えろ!」
アルの声にリンは姿勢を低くして構えた。
ほぼ同時にウィザードの詠唱が終わった。
<ストームガスト>
「ぐっつ」
「っ」
アルとリンを覆うように強烈な吹雪が荒れ狂う。
まともに直撃した、誰が見ても明らかであった。それ故に2人目のウィザードは油断した。
本来であればここで追撃の魔法を打ち込むべきであった。
しかし、僅かな油断により一瞬だけ詠唱が止まったのだ。
吹雪の中からアルが飛び出してきた。
「なっ!」
これにはその場にいた6人全員が驚きを隠せなかった。
慌てて騎士とクルセイダーの2人が盾になるように正面から迎撃の態勢をとる。
しかしここで、先ほど同じくストームガストに巻き込まれたアルが2人の間に割り込む。
「態勢を整える前に突き崩す!」
アルの素早い連撃に騎士はたたらを踏んだ。
この時点で勝敗は既に決していた。
プリーストは素早く杖を振りヒールを騎士にむかって唱えようとする。
「判断を誤ったな」
リンの冷めた声と共にプリーストの胸に矢が突き刺さった。プリーストは何が起きたか理解できないままその場に倒れそのまま意識を失った。
リンは回復役であるプリーストを最初に叩く事を重視し、サクラを先行で突撃させマグナムブレイクを撃たせた。
事実マグナムブレイクの反動で前衛にいた3人は僅かながら後退する事になりプリーストとの間に隙間ができた。
更に隙間をこじ開ける為にストームガストを全力で凌ぎきったアルが、無理やりその隙間に潜り込みこじ開ける。
これによりプリーストは前衛と後衛の中間に孤立してしまう。これだけの御膳立てがされてリンが外すわけがなく結果6人の要であった回復役を最初に失う事になった。
僅か3人(うち2人は1次職)があろうことか6人を相手に力量で上回っている、悪夢といっていいだろう。
そこから先は一方的な殲滅戦であった。
リンが後方から容赦ない矢の乱射でウィザード2人が孤立しアルが騎士達を牽制している間にサクラがウィザード2人を撃破、残った3人の抵抗も虚しく倒されていった。

ビット達が現場に到着したのはそれから僅かしてだった。
「これはひどいな」
あきらの言葉をビットもリアも否定しなかった。
周囲を見渡すと6人がその場で気絶しており、周囲には争った痕跡が至る所にあった。
地面が抉れクレータみたいに陥没しているとこもあれば土が焦げた匂いを発しながら黒ずんでいた。
他にも岩が凍り付いていたり、破砕されたような後もあった。今大会、最大の攻防戦があったのは間違いないだろう。
そしてその攻防戦の勝者は・・・
「お前達!!にげろ」
突然の声にビット達は声のした方に視線を向けた。
そこには
「なっ」
視線の先には傷だらけになりつつも弓を構えているリンがいた。
そしてその先には今まさに召還され実体化しようとしている魔物の群れがいた。
群れとはいえ数こそ少なかったがその魔物達に問題があった。
ダークイリュージョンを主とした不死の群れであった。
「ふっ、大金を払った割にはいまいちな奴がでてきたな」
魔物の群れの中央に黒い甲冑を纏った男がいた。
「てんめぇ、やはりあの時の黒幕か」
「あの時というのがどの時をさすのか分からないな」
リンの雰囲気が明らかに剣呑な物にかわっていく。
アルとサクラもリン程ではないが今までに無いほど警戒をしていた。
あきら達もどうするべきか思案していると男がサクラを指して口を開いた。
「さて、この場に私が来たことには理由がある。そこの彼女を私達に渡してもらおうか」
びきっ
空気が割れるような音がした。いや、正確にはそんな音はしていないだろう。だがこの場にいた全員がその音を聞いたような気がした。
リンの背中からとてつもない殺気があふれ出してるよう見える。これには近くにいたサクラはおろかアルさえも後ずさりする程であった。
「返事はどうした。言葉も分からない生物にでもなったか」
男は見下すようにリンを見る。
「黒甲冑さんよー。あまり、うちのリンを甘く見ない方がいいとおもうよ」
突如アルが不適な笑みを浮かべながら、リンに向かって叫んだ。
「リン!サクラ!!時間だ。限定解除だ全力でやっちまうよ」
アルの声と同時に空から光の柱が3人に降り注ぐ。
光の柱が3人を包み込み輝きが増したかと思うと光の柱は無数の羽に変わりながら弾けとぶ。
「なるほど、そういうことか。あの姿であの力量おかしいとは思っていたがまさか転生者とはな・・・選ばれし神の子であったか」
男は納得しつつ剣を抜き空に向かって振り上げた。
「第2ラウンドといこうか」
アルがステップを踏みながら構える。
サクラは剣ではなく片手槍に持ち替えペコペコに跨がる。
そしてリンは
「来い!シルフィーゼ」
リンの気合の入った声に呼応し空から白銀の鷹が舞い降りてきた。
「かかれー」
男が剣を振り下ろすと同時に魔物の群れとリン達が激突する。
大会とは別の知られざる戦いが今始まる。




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第11話:波乱の幕開け

大会は順調に進み、予選の全てが消化され、全部で60のチームが本選に進んだ。
ここから翌日の決勝に進めるのは6試合行われその上位2チームのみ。つまり全部で5チームまで絞られる。
アカデミーで行われる大会だが、各国のスカウトや有名ギルドのスカウト等が注目している為決勝まで進めば色々と恩恵もある。
野心家、戦闘狂、アカデミーのOB、各国の代表等等この大会では多種多様な理由で参加している。
しかし、その中でも異色なチームがあった。過去のどの大会にも記録がなく全くの無名のチームが本選に進んだ事は過去にそう多くはない。

「さて答えを聞こう」
とある一室でビット達はリンとむかいあっていた。
「一つ聞きたい。あんた達はこの大会に参加する理由はなんだ」
その気配の主はビットであった。ビットの表情はリンからは見えないが声からして返答次第では何時で行動を起こすつもりなのだろう。
「この大会に参加してるチームにあの襲撃事件の黒幕がいる。そいつを捕縛する為だ」
リンの返答は、あのフェイヨン襲撃未遂事件の事をさしていた。そしてリンの言葉には怒気が混ざっていた。
ビットは背筋に寒気を覚えながらも根性で奮い立たせた。
「なるほどそういうことか、だがこちらもお前達と協力するほど余裕があるわけではない。精々お前達の戦闘の邪魔をしない程度しかできないぞ」
突如ビットがいる場所とは違うところから声がした。声の主はあきらだった。
「構わないさ、こちらとしては相対する者が減ればそれでいい。僕達は優勝には興味ないから君達にとっても悪い話ではないだろう」
リンの言葉に2人は黙った。確かに悪い提案ではない、更に言えばリンの案にのれば決勝まではこちらに支援をいれてもらえるとまで言っている。
「いいでしょう。その案にのりましょう」
突如ビットの隣にリアが現れ勝手に返答をする。流石のあきらも苦笑いを浮かべる。
「?」
しかしビットはそんなことよりもリンの表情が一瞬だけであるが困惑に変わったのを見逃さなかった。
「交渉成立だな。では開始早々お互いに合流をした方がいいな。君達にはこれを渡しておこう」
ビットの手には何かの牙で作られた笛があった。
「試合がはじまったら即座にそれを吹くんだ。僕はその音であれば君達の場所を割りだする事ができる」
「なるほど、これは特定の人間にしか聞こえない音を発するアイテムだな」
リンの説明を聞きながらもあきらは笛をマジマジと見ていた。そしてその構造を瞬時に理解していた。
「では、次は本選であおう」
リンは後ろを向くと部屋から出て行った。
ほぼ同時にアナウンスが部屋全体に流れた。
『これより本選を開始いたします。出場者の方はそれぞれの部屋で待機をしてください。30秒後に転移を開始します』
ビット達3人は無言で頷きあった。それだけでお互いの考えが伝わったようだ。
空間が歪み視界が暗転する。
時間にして10秒くらいだろう少しずつではあるが視界が開けてきた。

『全チームの転移を確認。これより本選第1試合を始めます』
アナウンスが流れると共にそこら中に散らばっている気配が散会し始めた。
「ビット」
あきらの声にビットは笛を取り出しおもいっきり吹いた。
音自体は聞こえないがこれでリンへは届いたであろう。
「2人とも早速お出ましよ」
リアの言葉に2人も武器を構えた。
視線の先から現れたのは3人の男で、アサシン、忍者、ローグだと分かる格好をしていた。
「なんだ、アカデミーの奴等かこれは運がいいな」
「さっさと倒して次いくぞ」
完全に格下と決め付けた声が聞こえた。その反応にビットとあきらは嫌な予感がした。
「・・よ」
リアが何か呟いた。
しかしあまりにも小さすぎて誰も聞き取れなかった。
「あ?なんていった?降参でもするか?」
アサシンの男の放った言葉はトドメの一言となった。
「ふっざけんじゃないわよ」
リアの怒りが爆発した。彼女の魔力が高まるのを感じた。
空を見上げると雷雲が現れていた。
相対していた、3人も突然の事に我を忘れてしまい行動に移るまでに僅かながら遅れが生じた。
その僅かが結果的に致命的な結果になる。
<サンダーストーム>
広範囲に落雷が落ちる。
「ぐふっ」
アサシンの男にこれでもかというくらい落雷が降り注ぎ命中する。
マジシャンとはいえ彼女の内包する魔力は上位のウィザードにひけをとらない物がある。
そんな彼女の魔法が直撃してしまってはさすがに耐える事は不可能である。
アサシンの男は力なく倒れる。
「ちっ」
「このアマ」
残された二人は一斉にリアに向かって飛び掛った。
これにあきらとビットが応戦しようと前に出ようとした時
「さがれ」
別の場所から声が聞こえた。あきらとビットは咄嗟にその声に従う、ビットはリアを抱えて勢いよく後ろに跳んだ。
タイミングを合わしたかのようにビットが跳んだと同時に何かが勢いよく走り抜けた。
忍者の男はギリギリで避けたが、ローグの男は反応できずに思いっきり後方へ吹き飛ばされた。
僅かに遅れて男にあたった物が地面に落ちた。それは2本の矢だった。
他にも男がよけた場所にも2本の矢が突き刺さっていた。
「なろっ」
忍者はクナイを握り矢が飛んできた方に構える。
だが
「遅い」
今度は忍者の男の背中から聞こえた。
声に反応して振り返ろうとしたが、既遅し。
忍者の男は振り返る前に意識をうばわれその場に倒れた。
「無事なようだね」
ビット達の前に現れたのはリンだった。
どれだけの距離を走ってきたかは分からないが息一つ乱さずにいる。
「これからどうする」
あきらはリンに近づき今後の行動についての質問をする。
「この後は仲間と合流するつもりだが・・・どうやら向こうから来たみたいだね」
リンが振り返るとに3人も同時に視線を向ける。
「リンさんおまたせしました」
「いや丁度いいタイミングだよサクラ」
剣士の格好をした女性を見てあきらは驚いた。
以前、リンと相対した時に光の中から現れリンに連れてかれた女性だったからだ。
「・・・で、あの人は?」
「それが」
サクラは申し訳なさそうに視線を送ると
ドッカーーーーン
視線の先で大爆発が起きていた。それを見てリンは額を押さえた。
「あの人は・・・やりすぎだよ。仕方ない」
リンはあきらの方を向くとバッチを数個投げた。
「付いて来れるなら付いて来い」
あきらはバッチを掴みながら不適な笑みを浮かべた。
「上等」
リンが走り出すと同時にあきらも走り出す。
二人の距離は一定の間隔を保ちつつ爆炎の舞う方へと走っていった。
「あちらはあの方達にお任せしましょう。私達は・・・」
サクラは微笑みながら刀を抜いた。サクラが刀を抜いた意味をリアとビットも気づき構える。
「そこの剣士さんは私の後方を魔術師さんは私と剣士さんの間へ」
2人はサクラの指示に従い位置についた。
リアは直様に詠唱を始めた。
リアを中心にサクラとビットを覆うように火球が円周運動を始める。
ハイディング(隠れた敵)を暴く魔法サイトだ。
サイトが展開されると同時にサクラとビットの正面に何者かが現れる。
「やはり」
「そうくると思ったぜ」
サクラとビットはそれぞれの武器を全力で振り下ろした。
まず、ビットの一撃が何者かの短剣を砕きながら命中する。続いてサクラの一撃が命中、こちらは短剣を絡めとりながら吹き飛ばした。
ハイディングから現れた者の正体はアサシンだった。先程倒したアサシンと比べてこちらはかなりの腕のようだ。
「剣士さん魔術師さん、背後はお任せします。こちらの相手は全て私が引き受けます」
ビットはその言葉に耳を疑った。サクラの先には複数の気配を感じる。
普通に考えて剣士というだけでもこの大会ではかなり不利である。
大会に参加するのは1次職と呼ばれるソードマン(剣士)やマジシャン(魔術師)ではなく、その上位に位置するナイト(騎士)やウィザード(魔導師)といった2次職の者達が参加するからだ。
その為1次職のアカデミーチームは毎年、予選敗退が通例である。
そしてサクラもビット同様に剣士であった。アサシン一人でも厳しいにもかかわらず、サクラは一人で複数を相手にするといったのだ。
ビットがどうするべきか思案しているとリアがビットに話しかけた。
「任せてみましょう。あのリンって人と一緒にいるのですから」
リアは視線を外さず迫り来る気配を探る。この時点でビットにとって選択肢はなくなったと言えるだろう。
ビットは諦めリアの前に出た。
「それでは」
サクラの言葉に合わせたかのように迫り来る気配が急激に接近を始めた。
「やってやるぁーーー」
ビットの雄叫びが響き渡った。


「ぐぁっ」
「がっ」
苦悶の声が聞こえる。
(なんて奴だ)
目の前に現れた敵と思わしきウィザードを蹴散らしながらあきらは目の前で起きている事に目を疑った。
リンと素性の知れない女ローグの二人で複数のパーティーを蹴散らしていくのだ。
「アルさん右側頼みます」
「OKOKこのくらいどうってことないよー」
リンの射撃で追い込みそこにアルとよばれたローグが詰めよりきっちし止めをいれていく。
その速度が尋常ではないのだ、連携の制度をどれだけ高めようと人同士である以上意思の疎通が必要なのだ。
それは相手の考えを読み取る為にコンマ数秒は最低でも必要なのだ。
だが、この二人にはそれが適用されていないのだ。二人はお互いに好き放題動いているように見えて実際は最短のルートで動いていたのだ。しかし傍から見れば行動パターンが読めないくらい変則的な動きをする。
リンが右に動いたらアルは左に動き距離をあけたかと思うと一気に二人が突進をする。
更にアルの使うスキルが目まぐるしく変化する事もおまけしてより一層トリッキ-な動きになっているのだ。
クローキング、ローグの熟練者が身につけるスキルであり相手のスキルを1つだけコピーすることが出切るのだが使いこなせるものはほとんどいないといわれている。
しかし、目の前にいるローグは涼しい顔で複数のスキルを連発しているのだ。明らかに使いこなしているだろう。
既にあきらの目の前で、ボーリングバッシュ、クレイモアトラップ、コールドボルト、三段掌と繰り出されている。
これだけスキルが入れ替われば敵味方どちらも動揺を覚えるだろう、しかしながらリンはそれぞれに的確に対応し最善の行動をおこしている。ありえない世界であった。
「ぼけっとするな。次が来るぞ」
アルから厳しい声があがる。リンに至っては我関せずであった。
そんな態度にあきらはイラついた。
(そうですか。そういうことですか)
あきらの中で完全にスイッチが切り替わった。
リンを全速力で追い越すと敵陣のど真ん中に突撃していった。リンはニヤッと笑うと矢を10本同時に番え一気に撃ち放つ。
矢はあきらをすり抜けるように通過するとその奥にいた敵を貫く。あきらは相手の動きが止まるのを確認をしないで一気に詰め寄り斬りかかる。
「ふっ」
アルは少しだけ笑い、次なる獲物にむかって切り込む。
リンはやや遅れてアルの後ろを追いかけた。

(30分後)

『そこまで。対戦チームが2チームになった為試合終了です』
戦場に響き渡るアナウンスにリン、アル、あきらは足を止めた。
結果発表がされる前に3人の足元が光り始めた。予選の時と同じく空間転移だ。
「お疲れ」
アルが一言発すると同時にあきらは控え室へと移動した。
あきらは控え室を見渡すと遅れてビットとリアが戻ってきた。
「・・・」
「・・・」
ビットとリアは悔しそうに俯いていた。どうやらあちらでも力の差を見せ付けられたようだ。
3人は無言で控え室を後にした。

午後の本選1試合目から波乱の幕開けとなった。
予選、本選でアカデミーのチームが通過したのは異例中の異例。
更に素性、経歴不明のチームとの1、2位通過ともなると大会始まって以来の珍事であった。
しかし、波乱はこれだけに留まらなかった。
本選2試合目でもありえない結果がでていたがビット達が知るのは決勝当日であった。
決勝は確実に荒れるだろう、前代未聞の激闘がこれから巻き起ころうとしていた。
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第10話:思惑

「リア右いったぞ!」
あきらの声に反応し巨大な火球が空中に突如現れ急降下する。
「吹き飛びなさい!!」
リアは杖を真横に振ると同時に火球は地に着弾し爆散した。
タイミングを見計らってビットがまだ煙がたちこめる爆心地に突撃する。
「もらっていくぜ」
ビットの手には大会で使用されているバッチが握られていた。
予選第3試合が始まってから20分経過していた。あきら達は順調に2組目のチームを撃破していた。
実はアカデミーからの推薦チームが過去予選突破をした事は一度しかない。
その為、会場で観戦しているアカデミーの生徒達は異様な盛り上がりを見せていた。
あきら達は間違いなく現在バッチの保有数で上位争いの一角に入っていた。

「今ので合計6個だな」
あきらは地図を広げて現在地を確認する。
「確か、今ここで大半は中央を目指すと考えると」
ビットが地図の端を指しながら中央へのルートをなぞる。
「それだと乱戦に巻き込まれるわね」
リアは地図のルートを確認し中央への道で合流場所が固まっている事を指摘した。
現状、チームの数が減れば自ずと残されたチームは中央へと集まってくる。
理由は簡単であった。中央は市街地となっており、最初に選挙したチームが有利になる。
その為、どのチームも数が減り始めた今中央を目指すのだ、結果合流地点では乱戦になりやすい。
大半はこの乱戦である程度結果が決まる。乱戦に参加しない結果的にバッチの奪い合いに参加しない為、後々無理にでもトップチームとのぶつかり合いになる。
そうなると、市街地を占拠している側が断然有利になる。
あきら達はどうあってもこの乱戦に参加するしか選択肢がないのだ。
「・・・ん?ここはもしかして」
ふと、あきらは地図をみてて気づいた。
合流地点よりやや離れた場所ががけになっているのだ。
「リア、お前の魔法の射程でここから撃つことはできるか?」
あきらの問いにリアは崖の高さから射程の計算にを始めた。
「問題ないわ」
リアの返答にあきらは頷く。
「ビットは、リアの護衛をしてくれ。多分だが2,3発撃ち込めば反撃がくるだろうからそいつからの守りだ」
ビットはあぁっと頷いた。
「俺は第1射と同時に敵陣に切り込む一撃目で倒れた奴らのバッチを奪う。第2射は第1射の5秒後だ」
3人はお互いの手筈を確認した後、中央に向かって移動を開始した。

移動を始めて20分程で目的の崖にたどり着いた。崖の下では予想したとおり既に乱戦が始まっていた。
既にいくつかのチームが崩壊し残るは自分達を除いて6人つまり2チームだけであった。
「手筈どおりいくぞ」
あきらの合図でリアは詠唱を始める。
「穿て雷(イカズチ)よ、我らの前に立ちはだかりし敵を葬れ」
頭上に雷雲が呼び出される。崖下にいた者達も異変に気づき回避行動を起こそうとするが既に遅かった。
<サンダーストーム>
マジシャンが扱う魔法の中で最も広範囲で高度な風属性魔法が発動する。
無数の落雷が崖下にむかって降り注ぐ。爆音と共に砂塵が舞う。
あきらはすかさず崖を疾走する。ほぼ90度にちかい崖を起用に走り砂塵の中に飛び込んだ。
「!やっぱ楽はさせてくれないか」
リアの第3射が放たれると同時に背後から気配が感じた。
ビットはすかさずリアを庇うように飛び出す。その先には先ほどまで崖下にいた騎士の男とウィザードの女がいた。
「奇襲とは、やってくれる」
騎士の男はこれでもかというくらいにビット達をにらみつけた。
「悪いな、こんな場所で止まっておくわけにはいかないんだ・・・よーーーー」
ビットは騎士に向かって疾走する。やや遅れて騎士の男も動き始める。
ウィザードはこちらに聞こえないように詠唱を始めていた。
高位の魔導師は魔法の内容を悟られないように色々と工夫をしている。
例えば、このウィザードのように声をある程度抑えるといった事はよくあることだ。
他にも、上位になれば詠唱時間の短縮、極限の領域でいえば無詠唱にいたるものもいる。
「そうやすやすと大魔法は撃たせないわ」
『大気中に存在する水よ氷柱となりて敵を穿て』
<コールドボルト>
ウィザードの頭上に氷柱が現れ勢いよく降り注ぐ。
ウィザードの詠唱は強制的に解除され、かなりのダメージを与えただろう。
基本の魔法でもあるコールドボルトだが高い魔力を持つリアの場合、威力は普通のマジシャンの比ではない。
「悪いけどこんな場所で足踏みできないわ。このまま舞台から降りてもらうわよ」
リアの容赦なく言い放つとトドメの魔法の詠唱を始める。

「でぇぇぇい」
ビットは槍を振り回し騎士の持つ大剣を弾きながら前進する。
基本的に槍と剣の勝負では槍に軍配があがる。しかし槍を使う騎士が少ない事には理由がある。
扱いの難しさ及び剣に比べて重量がある為相応の腕力が求められる。
しかし、扱いきれるなら確実に槍側が有利になる。
「っく、重い一撃・・・だが」
騎士の男は剣を横に振りぬく。
<ボーリングバッシュ>
ビットを弾き飛ばしつつリアを巻き込む狙いがあった。
しかし
「みえみえなんだよ」
<バッシュ>
ビットは騎士の振りぬきをかわして背後へとまわりこんでいた。
騎士の男は背後からの一撃になす術もなく意識を刈り取られた。
「よし、これでこっちは片付いたな。あきらの援護に・・・」
ビットが振り向きながらリアに言うがリアはビットの横を指差していた。
「もう終わった」
指されたほうに視線をむけるとほぼ無傷なあきらがバッジをたんまりと持って佇んでいた。
『そこまで』
『予選第3試合の勝者はこちらの方です』
突如ビット達の頭上から光が挿し込んだ。
「どうやら俺達が勝者のようだ」
あきらは冷静に状況を把握し2人に伝える。2人とも納得し手にしていた武器を納めた。
ほぼ同時に自分達が立っていた空間が歪んだ。そして、次の瞬間には控え室に3人とも戻っていた。
どうやら部屋自体が空間転移の力をもっているようで大会主催側の判断で試合会場との行き来ができるようになっているようだ。
「なんだかんだ余裕をもって予選突破できたわね」
リアは髪をかきわけつつ控え室の椅子に座る。
「だが、午後の本戦は今回のようにはいかないだろうな」
あきらの言葉にリアもそうねと答える。
あきらとリアは話をしていて違和感を覚えた。
2人は部屋を見渡す。そこにはいないといけないはずの存在がいなかった。
「ビットはどこいったの?」
リアの疑問と同時にあきらは部屋を飛び出した。


「あれ?ここは?」
あきら達が控え室に戻った時を同じくしてビットは見覚えのない場所にいた。
多分、会場のどこかではあるのだが全く見覚えがなかった。
辺りを見渡すとそこには一人の青年がいた。
「こうやって正面きって話をするのは初めてかな」
青年は少しだけ表情を崩した。
ビットはその青年を知っていた。
「お前、リン!」
ビットは驚きを隠せなかった。まさかいきなり今まで探してきた人物が目の前に現れるのは予想外だった。
「そうだ、リアとあきらは」
ビットは辺りを見渡すが2人の姿はどこにもなかった。
「2人は既に控え室に戻っている。ここには君と僕しかいな。ああ、危害を加えるつもりもないよ。実はお願いがあって君をここに呼んだんだ」
ビットはリンの表情を伺う。ビットにとってリンを見るのはこれで3回目、1回目はフェイヨンから少し離れた場所で強大なモンスター達に果敢に挑んでいった姿、2回目はつい先程予選で逃げ回っている姿、そして3回目は今だ。どれもリンであるが本当の姿はどれにあたるのか?もしかしたら今のリンも偽っているのかもしれないと疑っているのだ。
「そう怖い顔をしないでくれ話しにくい」
リンはまいったなーと呟きながら困った顔をした。
「とりあえず話を聞こう」
ビットもこのままだと話が進まないと判断したようだ。
「話は簡単だ、今日の午後の本戦。僕達と手を組まないか」
「どういうことだ」
リンの言葉にすぐさまビットは聞き返した。
「正確にいうとどうしても、明日決勝に僕達は出ないといけないんだ。その為には午後から行われる本戦で最低でも2位以内に入る必要がある」
そう、午後から行われる本戦は予選と違い上位2チームが明日の決勝に出場できる。
「1位通過はそちらに譲る。今の君達だと本戦を勝ち抜くのは厳しいだろうからこの提案はありだと思うんだがどうだろう」
リンの提案にビットは考え込む。何故リンは今このような話を持ちかけてきたのか?普通に考えればアカデミー生よりも現役で活動している冒険者の中で話ができそうな相手を選んだ方がいいだろう。
「俺一人だけでは答えは出せない。他の2人と一度話して決めたい」
ビットは慎重に考えた末、答えを保留した。これについてはリンも予想していたのだろう表情に変化はなかった。
「ああ、答えは本戦始まってからでいいよ。君達が僕達の敵として動かなければこちらは君達のフォローもしよう。いい答えを待っているよ」
リンはそういうと天井を見上げた。ほぼ同時にビットの足元に魔方陣が現れビットは控え室に飛ばされた。
「ビット!!どこいってたんだ」
いつもは冷静なあきらが慌てて部屋に飛び込んできた。
遅れてリアも部屋に飛び込んできた。
「何処行ってたのよ。本気で心配したんだからね」
少しだけ怒り気味なリアにビットはどう弁解しようか悩む。
「それで、実際何かあったんだな」
あきらの言葉にビットは頷いた。
「実は・・・」


会場の屋根裏に転移したリンは空を見上げた。この行為は特に意味があるものではなく彼の癖みたいなものである。
「あれで良かったのですか?」
突如リンの横にフードを被った仲間の声が聞こえた。
「ああ、あれで問題ない。味方になろうが、なるまいがあまり関係ない」
「リンさんがそう仰るのであれば私は信じて動くだけです」
仲間の堅苦しい言葉にリンは少しだけ苦笑いを浮かべた。
「次からは僕だけでは厳しいだろうから君にも頑張ってもらわないとね」
「はい、任せてください」

会場から歓声があがった。残りの予選組みも終わり遂に本戦メンバーが出尽くした。
アカデミー代表は大会初の予選通過を果たし本戦へ、そしてあきら達が警戒するリンと未だ素性不明の2人。
更に決勝戦出場に拘るリンの目的は・・・
激化する本戦でそれぞれの思いが交差しぶつかり合おうとする。
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第9話:予選開始

部屋の中に日差しが差し込む。
「ん、朝か」
あきらはベッドから降りると服を着始める。
「ついにきたか」
あきらは窓を開け放ち身をのりだした。
外からは空砲の音が鳴り響いていた。
これから2日間に渡ってアカデミー主催の大会が開かれる。
毎年100以上ののチームが参加する事で有名な大会だ。
アカデミーからはあきら、ビット、リアが他の候補を寄せ付けない圧倒的実力で枠を勝ち取った。
この大会に参加するだけでも名誉な話で、過去の参加メンバーはプロンテラ騎士団や各街の防衛隊長などで今も活躍する者が多くいる。他にも自分の工房や店を持っているものもいる。
アカデミー卒業後の将来が約束されているよなものであるのだ。ゆえに毎年、枠争いは熾烈を極めている。
しかし今年だけは例外であった。アカデミー最速で単位を修得しているあきら、アカデミー唯一の槍使いの剣士で実力はあきらと同じではないかと言われるビット、そして王家の血をひき強大な魔力を保有するマジシャンであるリア。3人の圧倒的実力の前に候補者は前年度の半分以下であったようだ。
結果誰もが予想できあたであろう3人が大会に参加する事になった。
アカデミー内ではもしかしたら優勝してしまうのではないかとまで言われている。
「よし」
あきらは身支度を整え装備の確認を終えると部屋のドアを開けた。


「はぁぁぁぁ」
槍を振りまわしながら右へ左へとステップを踏み素早い動きで動き回る。
「炎よ火球となりて敵を撃て」
<ファイアーボーール>
ビットに向かって火球が投げつけられる。
ビットは冷静に槍を地面に叩きつけ土を巻き上げる。石つぶてが火球とぶつかり速度が落ちたところを余裕を持って回避する。
「これでどうだ!」
ビットは槍を思いっきり振り上げると全体重をのせて振り下ろした。
<バッシュ>
「ふふ」
<セフティーウォール>
槍がリアに当たる直前、魔力で作られた障壁がリアを覆う。
障壁は槍と拮抗しバッシュの威力を霧散させた。
ビットとリアはお互いの力をある程度確かめると、それぞれ自分の鞄からタオルを取り出し汗を拭いた。
「悪くないわね、私の騎士になるのだからこれくらいはやれてもらわないとね」
リアは満足気な表情をしていた。
「誰がお前の騎士になるって言った。毎度毎度勝手な事いうな」
ビットは溜息をつきながら返す。
既にこのやり取りも定番となっており、ビットも適当にあしらっている。
「ふふっ、逃がさないわよ。っと、リーダーもきましたね」
リアの視線の先にビットも視線を向けると上空からあきらが降ってきた。
「準備はできいるな。いくぞ」
「おう!」
「はいっ!」
あきらの言葉にビットとリアが強く頷き会場に向かって歩き始めた。
会場に入ると既にエントリーを済ませたパーティー達が各々の場所で準備運動を始めていた。
あきら達も受付に向かった。
「アカデミー代表のあきらだ。メンバーはビット、リアだ」
あきらの声に受付員は名簿に目を通す。
「はい、あきらさん、ビットさん、リアさんの3名確かに確認しました。貴方達は予選第3試合からとなります。予選の試合形式をお伝えします。予選は各試合10チームの中から上位1チームが決勝リーグへ進めます。そして予選では試合形式は各チームリーダにこちらを身に着けていただきます」
受付員はあきらに紋章のようなバッチを渡した。
「こちらを奪い合っていただきます。こちらを奪われた時点で試合からは離脱して頂きます。最終的に制限時間内に全ての相手を倒すか、多くのバッチを保有していたチームが勝者となります。なにかご質問はありますか?」
受付員の説明を受けあきらは首を横に振った。
「いやわかった。質問は別の事である」
「はあ、何でしょうか?」
受付員の頭にハテナが浮かんでいるように見えた。
「参加者にリンとい名の者はいるか?」
「申し訳ございません、生憎他のチームメンバーの情報はお伝えできません」
あきらは知っていたがあえて聞いてみた。それは受付員の反応である程度予想しようとしたのだ。

『それでわ、予選第1グループの試合を始めます』
声の聞こえた方を振り返るとそこに複数のスクリーンが現れた。
スクリーンからは予選の会場を複数の箇所から写していた。
あきらはスクリーン見回したがそこにはリンの姿は映っていなかった。
『それでは予選第1試合・・・始め!』
合図と共にスクリーンの先で爆発や武器のぶつかり合う音が聞こえた。
開始10分はどこも拮抗した戦いが繰り広げられていたが少しずつ力の差が見え始めていた。
爆発に巻き込まれその場に倒れる者が出始めた。
あきらはスクリーンから視線を外しビットに何か話しかけようとした時
「いた!!右下から2番目のスクリーンだ」
あきらはすぐさまスクリーンに向くいた。
「うわああああああああああああああ」
大絶叫と共に大勢の人に追い掛け回され逃げ惑う姿がそこに写されていた。
どこからどうみてもあきらの知っているリンであった。だが
「・・・あれがリンか?」
疑いたくなるのもそのはず、あきらの知っているリンは冷静で自分を圧倒したほどの実力者だ。
それがあんな滑稽な姿を晒しながら逃げ惑っているのだ同一人物だとは信じがたい。
だが現実は現実だ。
「あっ!」
リアが声をあげた。
スクリーンに映るリンが地に足を引っ掛けてしまい転げてしまったのだ。
万事休す。さすがに大人数を相手にあの体制からは突破は無理だろう。
「おかしい・・・何かある」
あきらが呟いた瞬間、リンの背後を追いかけていた人達が吹き飛んだり、氷付けにさせられた。
「へっ?」
ビットが素っ頓狂な声を上げた。それもそうだ何が起きたのか理解が出来なかったのだから。
むしろスクリーンを見ていた人の大半はそうであった。
『よいしょ』
リンは起き上がりながら矢を弓に番う。そして撃ちだした。
しかし矢は真っ直ぐとばす氷付けにされた者の手前の地面に突き刺さった。
と同時に
ドッカーーーン
氷付けにされた者達の真下で額発が巻き起こった。
どうやら地面に矢が突き刺さると同時にそこにあった罠を氷付けにさせられた者達の真下に押し出したようだ。
しかも作動させるというおまけつきだ。
事前に伝えられていたが予選の会場では罠が仕込まれているという情報は聞かされていた。
どうやらそれが発動したようだ。
リンは完全に気絶してしまった者達のバッチを取り外し持っていた鞄に放り込んだ。
『そこまで』
ほぼ同時に終了の合図が流れた。リンはそのままスクリーンから消えていった。
『現在、集計中です。・・・結果がでました、予選第1試合はこちらの方達です』
スクリーンに映し出されたのはリンと、マントを羽織って容姿が分からない者が2人立っていた。
結果を知った者達からなんだよラッキー勝ちかよといった嘲笑の声があがった。
大半の者達は結果からリン達を笑いそして見下しスクリーンから視線を外した。
だが一部の者達はどうやらそう考えていなかったようだ。
「・・・わざとだな。あまりにも出来すぎている」
「ああ、偶然がそう何度も続くわけがない」
あきらも同じ意見だった。特にあきらはリンの事を少しではあるが知っている。
「あきら、あいつの最後に少しだけ笑っていたぞ」
ビットも直感ではあるが、先のリンが普通ではないこと感じていたようだ。
リアもどうやら同じようでビットの言葉に頷いていた。
「面白くなってきたじゃないか、俺達も負けてられないぞ」
あきらは不敵な笑みを浮かべビットとリアを見る。
「だな」
「そうね」
二人もあきらと同じように笑みを浮かべていた。
どうやら全員、怖気づいていないようだった。
『予選第2試合、始め!』
予選第2試合の合図が流れた。
試合は着々と3人が出場する第3試合に迫っていた。
「んじゃ、控え室いきますか」
ビットとリアは控え室に向かって歩き始めた。
(あん時の借りを返す時がきたんだ。こんなところで躓いてられるか)
あきらは力強く前をみると歩き始めた。
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